GUNSLINGER GIRL Image Album

GUNSLINGER GIRL Image Album「Poca felicita」

GUNSLINGER GIRL Image Album「Poca felicita」

惜しい、非常に惜しいアルバムでしたね。
声優のモノローグを日本語じゃなくてイタリア語にして(なくしてもいい)、歌の部分はJOSEFAって人が全部歌ってくれたら、きっとアニメのサントラに勝るとも劣らないまったく独自の「GUNSLINGER GIRL」音楽ができあがっていたことでしょう。現状、M1「La ragazza col fucile」M2「Il fratello」M6「Pinocchio」M10「La ragazza」M11「La ragazza col fucile e poca felicita」をプログラム編集して聴くしかないので、それですら結構聴き応えのあるミニ・インストアルバムに仕上がっているので、贅沢をいえば……という話です。
「Il fratello」、「La ragazza」、厳粛な悲劇性に束縛されながらも、物憂げな瞳に映るあどけない夢のような旋律。胸を掻き毟られるような切ない音楽はなかなか捨てがたい。
さればこそ、この企画はひどい。
アニメ作品には、キャラクターのボーカルアルバムを出すべき作品と、出してもいい作品と、出さなくてもいい作品と、出しちゃダメな作品があるわけです。「無限のリヴァイアス」のボーカルアルバムを貴方、聴きたいですか? 発売されていますが(asin:B000HXE2Y0)僕は聴きたくない。「ノワール」のボーカルアルバムが発売されないのは当然でしょう。そういう類を許さない性質の作品であることは制作者とファンの間で了解されているからです。正直「ローゼンメイデン」のキャラソンアルバムは企画が進行してそうなので下手なこといえませんが、非常に悩ましい問題です。発売されたら聴きそうだよなあ……。
しかるに、僕は「GUNSLINGER GIRL」という作品についても、キャラソンアルバムやラジオ番組といった類を許さない性質だと、制作者とファンの間で了解されていると認識していました。そうあることが誇りであると、誰に確かめてみたわけではありませんが、当然のことだと思っていたからです。だから僕はこのアルバムは、Sound Horizonというクリエイターが「GUNSLINGER GIRL」という作品にインスパイアされてこさえた、インストゥルメンタルアルバム(少しはイメージソングが入っているかもしれないが、それもいい)だと、間違っても出演声優が歌ったり喋ったりするはずはないだろうと思っていたわけです。
それが貴方、わかりますか。うら寂しいオルゴールに導かれ、ヒロイックなバイオリンの響きに耽溺していたら、いきなり「ジョゼさんは何でも知っている」と南里侑香に喋られたときの気持ちがっ! あの"のっぺら"な声で素っ頓狂なこと言い出されたときの"ずっこけ"ようときたらっ! 何が「ジョゼさんは知っている」だ、俺の気持ちも知りやしないで……。何でも知ってるジョゼさんにこの気持ちを知ってもらおうにも、そのジョゼさんも後続のトラックで喋っていやがるしなあ……。
銃声とか、演技とか、中途半端に作品の性質を考えて嗜好を凝らしているところも、また痛い。何やっても所詮ジャンルはキャラソンなんだし、考えるならそもそもやるべきではなかったし、どうせやるならいっそ「ラブひな」級にはっちゃけて欲しいよなあ。5人揃って古臭いアイドル歌謡でも歌ってくれたほうが、まだ後腐れなく回避できるってものですよ。