物覚えもつかない頃に母親を亡くし、飛行機が好きだった父親も、5年前フライトに行ったっきり行方不明、以来叔父の経営する牧場にたつ一軒家にひとり暮らす高校2年生「深山直人」(みやまなおと)くんが本編の主人公です。パイロットであった父親が残したものは、ウルトラライトプレーン(ULP)と九三式中間練習機(通称「赤とんぼ」)。その赤とんぼで空を飛ぶことが父親の夢で、その夢を叶えることなく突然いなくなってしまった父親が空をどんな気持ちで飛んでいたのかを知りたい、という想いで彼もまた空を飛ぶことに憧れるようになり、いつか「赤とんぼ」を修復して飛ぶことが主人公にとっても「夢」となっていたのです。
そしてこの夏。今まで必死にバイトをしてためたお金で地元に設立されたULPクラブに通い、飛行資格を得ること。そして父親の命日である8月20日にULPで空を飛ぶこと。彼の「夢」実現にとって大切な夏休みは、もうすぐそこまで迫っていたのです。