外国の人が日本に来て、まず覚える日本語が「ありがとう」「ごめんなさい」だというのに、日本語を30年も使っている僕は、実は「ありがとう」「ごめんなさい」の使い方を忘れてしまっているような気がします。話せないわけではもちろんなく、ふだん使うことはあるけれど、言った後にどこか心の中で違和感を覚えてしまう、「はて、今の使い方であっているのかしら」と頭をひねってしまうのです。
子どもの頃よく食べていたあなご寿司を、ここ数年は全然食べる気が起こらないことも合わせて、単純なこと、当たり前のことは、複雑になこと、突拍子もないことにまみれているといつしか、知らないうちに失われていってしまうものなのかもしれません。それは追加され上書きされるのではなく、追い出され喪失していくもの。
ビールを美味しく飲めるということは、苦くてとても飲めたモンじゃないと思っていた若い頃の感覚を完全に喪失した結果であるけれど、あなご寿司はどうでもいい、僕の心からの「ありがとう」「ごめんなさい」は、まだ"取り戻すことができるんだろうか"。

まったく、どうでもいいことを小難しく書こうとする癖はどうにかならないものですかね。というかギャルゲーの感想を書くのって実は苦手なんですよ、得意だなと思っていられるのは書き終えて1時間くらい。だいたいノベルゲームの感想をネタバレなしで書こうとすること自体ナンセンスのような気がします。自身の個人的な印象を根拠に妙な理屈を捻り出していること、その浅ましさに居た堪れなくなるというか、恥かしいというか、無い乳を隠しながらダンボールの中に潜り込みたくなります。
とはいえ、ノベルゲームを小説のそれと同じように感想を書く(ライターの表現内容―技巧・センス・思想―を直截に取り扱う)ことには抵抗があって、ライターの表現内容を前提的に肯定して謎解明や考察を進めるのも違うような気がして。それじゃあいったい何を書けばいいんだよ、となってしまう。実際ライターの技量とエロゲンガーの受けが全てのようなジャンルだというのにね。
ときめきメモリアル」でギャルゲーの世界に入り込み、「トゥルーラブストーリー」で抜け出せなくなってしまった世代としては、「ゲームはゲームでしょ」という不毛なこだわりをどうしても清々できないのですよ……。そんなものとは適当に折り合いをつけて、プレイ日記のようにラフな気分で書ければいいんですけどね。
って、僕はなぜ愚痴を書いているんだろう……。

蟲師」のサウンドトラックはちゃんと市販されるみたいですね。良かった。これで「BLACK CAT」のサントラも発売してくれると嬉しいんだけども(星の使徒のアジトを襲った辺りの音楽が痺れましたね)、そろそろ情報が欲しいところです。
アニメ音楽というと、「びんちょうたん」の1話見終えた時点でサントラを予約注文しました。「BLACK CAT」といい岩崎琢さん大人気ですね、もちろん僕的にも外せない。あと「かしまし」も気になります、キャラソンはいいから早くサントラを発売しなさい。「灼眼のシャナ」のサントラは発売済なので早く聴きたいところ(レンタルプリーズ)。「鍵姫物語 永久アリス輪舞曲」の七瀬光サウンドもたまには聴きたいお年頃だし、「よみがえる空」の松尾早人さんは「怪盗セイントテール」で大変お世話になったこともあり無下にはできません。
アニソン的には、「ミリオン・ラブ」と「HEAT ISLAND」「マ・ジ・ヤ・バ」それぞれのCD発売が楽しみです。アニソン周辺に耳を伸ばすと、川田まみさんの1stアルバムとか、YURIAさんの1stアルバムもリリース予定ですね。
アニメを見ていない頃は、アニメ音楽にも興味をなくしていたけれど、アニメを見出した途端、アニメ音楽にも興味が出てくるんだから現金だよなぁ。まぁCD買うのには現金が必要なのは確かだけれども。

新しいアニメが勢いよく始まっていっそう、「Canvas2 〜虹色のスケッチ〜」が面白い。小癪に面白い。吉田玲子さんがシリーズ構成なだけあってか、恋愛ドラマとして何より一級品だし、それにもまして登場人物たちの何気ないしぐさや、ちょっとしたやりとりにセンスを感じてしまう。
ギャルゲーを原作にしたアニメにありがちの"けばけばしさ"がなく、七尾奈留キャラデザだというのに驚くほど馴染みやすいのは、常に異性を意識させるということのない地味で落ち着いた生活感、あくびが誰にも咎められないようなありきたりの時間感に浸すことで、キャラクターたちのありのままの普段らしさ、気の張らない雰囲気がよく伝わってくるから。元より"ありえない世界"だというのに、まるで気安い仲間内のエピソードを聞いているみたいな穏やかな心地になっている自分を、毎回発見しています。
洗い場のスポンジを両手で握り合わせて感激したり、合唱コンクールでの演奏が上手くいって舞台裏でみんなしてはしゃいでいるのを顧問の先生に注意されたり、余裕あるエピソード群の中でふんだんに盛り込まれている、ゆったりとした日常の中での"ぬるい萌え"が、僕には愛おしくて堪らない。アイキャッチに挿入される絵はたまに鑑賞に堪えない。