お湯屋へようこそ
- 作者: 湖西晶
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2006/04/27
- メディア: コミック
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萌えキャラによる天然ボケとこじつけエロ妄想が魅力の「かみさま〜」は、とはいえ少しネタギレかなぁというか、あまり冴えてないし明らかにマンネリだけど設定と勢いで無理して笑わせようとしているようなところが、面白い回もあるだけに余計サムいけれど(とはいえ最近のは読んでない)、「お湯屋〜」のほうは主人公が成人女性ということもあるのか、キャラクターはあの通りかわいいのに視点が等身大の、実にぶっちゃけていておばさん臭く、そのギャップ、というか本来のありようになんだかホッとさせられます。萌えを狙ってないことがかえって安定感をもたらし、「でも全然狙ってないわけじゃないのよ」的フェイントもまた魅力的。旦那の腕に胸を押し付けても何の反応もないのを「着物! 固い着物なんか着てるせいよね!!」なんて、もう、そういう着崩した日常的な発想の豊かなことといったら、この作者はきちんと生活しているんだなあとしみじみ思わされます。
面白いし、もっと連載が続いてもよさそうなものなのにね。人気なかったのかな。でも、板長の想いや果たしている大きな役割にほとんど報いないまま終わらせるというのは、読者として不満だし何より、作者として不義理に過ぎるのではないかと。
僕としては、キャラクターが流行的な萌え絵柄であることは欲しても、ネタまで萌えというか、えっちっぽさを内包した世代別お約束準拠でなくてもいいような気がするんですよね。萌えにはそもそも笑いの要素は含まれていないと思うから。何が可笑しいって、やっぱり生きている視点と実感のある切り口ですよね。生きてないハズの萌えキャラや一般人とは異なる存在である作者が、所帯染みたようなことを言ったりさせたりするときに、読者は共感を覚え、その意外(意表)性に笑えてしまう。そういう回路に作者はもっと意識的であってもいいと僕は思います。生活ってのはみんな同じようでみんな違うものですからね。そういう絶妙な食い違いが笑いの原石になるんじゃないですかね。いや、僕がそういうのを好むというだけの話なんですけどね。