まなびストレート! O.S.T アンサンブルI

高校生といえば、吹奏楽。その溌剌としていて若々しい、それでいて本格的なブラスサウンドが印象に残ってサントラを聴いてみようと思ったのでした。ただ、もうひとつ大きな動機だった校歌が収録されていなかったのは残念。しかもCD2枚組とかいって、サントラ分の1枚目は収録時間がたった40分ちょい。もう1枚はまるまるボーカルアルバムで、しかもヘンチキなアレンジが施されていてとても聴けたもんじゃない。そんな詐欺っぽいことするくらいなら、サントラを2枚組で発売して、ボーカルアルバムを2枚組で別々に売ればよかったじゃんか。んもう。
待ちに待ったワクワク感と、抑えきれない晴れやかさをすこやかに表現した吹奏楽曲M2「朝の風景(M03A)」。軽妙で生き生きとしたピアノとギターがむやみに楽しいM3「生徒会書記、稲森光香記す(M49A)」。無邪気な勇ましさとたくましい疾走感が、空気となって伝わってくるようなブラスと弦楽の瞬発的な競演M4「まなびストレート!(M29#2)」。勢いのある、つまり忙しない楽曲群にあって異質なほどにゆったりとした、和やかな大曲、M8「おだやかな日常(M02A)」と、慎ましいピアノ曲、M9「Ever Green(M27A)」。時計の針の刻みと自分の鼓動を一度元に戻してみよう。
バイオリン2台の清楚な競演、M10「精霊の踊り(M45)」。雨と名のつく曲に僕はめっぽう弱いのです、それがピアノ曲なら尚更……、したがってM11「Rainy Blue(M15)」はいい曲。ついでにM12「届かぬ願い(M42)」も、憂いを湛えた可憐なピアノの旋律が美しい。こんな名曲、本編で使用されていれば気づかないはずないんだがなあ……。お行儀の良い旋律が繰り返され、次々新たな音色が加わったり、代わったり出て行ったりするさまは、まんま生徒会室の光景のようでちょっと面白いM17「準備開始(M44A)」。仲間と何か大切なことを成し遂げようとする最中の、感懐というものは、言葉にできない、ふつふつと湧き上がる体温感なのかもしれません、そんな掴みがたいテンションをブラスと弦楽、ピアノで空気感まるごと表現したM21「まっすぐゴー!(M08#10)」。
やっぱり高校生といえば、吹奏楽。風を起こす彼女たちが、とてもじゃないけど高校生に見えないとしても、ね。