祈る習慣 願う習性

夜更け、パソコンの電源を落として、部屋の電気を消してそのまま寝ようとすると、いつも、何かをし忘れている感じが残ります。それはいったい何なのかと考えていて、ふと思い出したことがあります。
それは中学生の頃、寝る前には必ずベランダに出ていって、星に手を合わせてお祈りをしていたんです。我ながら感傷的な習慣(癖)だと思うんですが、きっと当時読み耽っていた「星の瞳のシルエット」の影響なのでしょう。冬のシリウスがどうとか、秋のペテルギウスがどうとか、まばらな夜空を探して、息を止めて、熱心に祈っていたものです。願っていたのです、「家族みんなが仲良くありますように」と。
2階の僕の部屋に面し、毎夜星空を眺めていたベランダを備えた家を、バブルがはじけて去ることになり、時を同じうして両親も離婚。それ以来、寝る前にベランダに立って星に祈りを捧げることはなくなりました。願うことをしなくなりました。ただ、寝る前に何か大切なことをせずにはいられなかったという習慣の名残が、今もこうして、寝る前に漠然とした未消化感として、一抹胸をよぎるのです。とはいえ、眠りについてしまえば、いたってどうでもいい、思春期のくだらない悪癖も、恥かしい何もかも、過去の話です。
とはいえ、過去がどうでもいいとしても、例えば妹が妊娠したというような、現在や、未来の話にしたところで、僕には実感がわかないのだから、そもそも僕はどこにいるんでしょうね。よく、わからないや。