コミックマーケット72 3日目

 僕はコミケに参加しはじめてもうすぐ10年になる人です(私信)。まあ、毎回1日か、たまに2日間参加するくらいですけど。
 実は、イロイロと余裕がなかったので当初行くつもりはまったくなかったんですが、あきらめていた給料の振込みがあったことと、以前より交通費が片道で300円も安く上がるルートを発見したこと、さらには朝の3時過ぎにどうしようこうしよう優柔不断していたら、TVKで「花右京メイド隊 La Verite」が放映していて、「なるほど、これはコミケに行けという指令ですね」と合点、急遽4時台の始発に駆け込みました。未明の街を走ったさー、もちろん始発に乗る意味はないんだが、慣習とはえてしてそういうものだ。
 朝早いりんかい副都心線大井町駅はすさまじく、まだ人が全然乗り込んでいるのに容赦なくドアが閉まり始めたり、国際展示場駅では下りのエスカレータを猛然と登り上がる馬鹿がいたり、西館(正門)に繋がる列に並んでいたらいきなり隣の列の女の人が号泣し始めたり(今週のグレンラガンは泣くというよりも熱い話だったはず)、相変わらずネタに困らない幕開けを見せたコミックマーケット72。僕程度のネタにもなりきれないフキンシンな存在すらも、熱気と湿気とワキガの匂いに霞んでしまうのが、たいへん救われますね。もちろん、僕も臭い(と思う)んですがね。
 行列は毎回恒例、マギノビの人とRO臨時PTマニアの人と話しながらまったりと過ごす。にしかぜさんが最近不参加気味なのが寂しいのう。ひそかに誰かカタログを持ってきていることを期待していたのだけれど、誰も持ってきていないので(もちろん、カタログを会場に持ってきているようでは××なのだが)、今回の作戦は創作系をじゅうたん爆撃(創作系の場所はマギノビの人が把握していた)。これしか選択の余地はなかった月森なのであった……。
 とはいえ、東館4あたり、西館1も含めて創作系を一通り回り終えてもお昼を回っていなかったので、なんとなく成人向け創作(つまりエロ)に突撃してみたものの、人々の歩行速度が創作系民の1.5倍、破壊力は2.25倍(月森調べ)、この過酷な状況下で目的もなくうろつくのは非常に危険と判断、企業ブースに逃れてよくわからないアイテム群を冷やかして回りました。ああ、どのエロゲーも似たような絵柄(遊佐未森的に言えば「瞳水晶」)で、どこかで見たような設定ばかりだよなあと思い始めたら卒業のシグナル、だがそれもいい。
 せめて、cuffsで安瀬聖さんのサントラが置いてあればぜったい買っただろうになあ(タイトルは何でもいい、そもそも「さくらむすび」ですらゲームよりサントラを先に買ったのだから)。結果、企業ブースでの買い物、ゼロ。
 朝方はそれなりに涼しかったものの、入場あたりから陽が出てきて昼時にはもう炎天下。休もうにもかえって体力を消費してしまう夏はやっぱり、厳しいなあ。というわけで少し早めの3時頃に撤収。元々サークルの知り合いなんて皆無なのだけれど、てすたさんに挨拶したくらいですか(らき☆すた本ありがとうございました)。
 実はすでに24時間以上起きていて、持参した弁当(遅い夕食の残りを詰めただけ←良い子は真似しちゃだめ)を食ってから体調に微妙な危うさをひしひしと感じながらも、マギノビの人に勧められたラグナ本をフォローしようととらのあな町田店に寄ってみたりするところ、結構律儀でしょ(売ってなかったけど)。ここで一句。「とらのあな どうせ行くなら 秋葉原
 帰宅後は、攻めターンだったGvGを軽くいなしつつ、ビール飲んで眠りました。いやはや、コミケが終わって、ひとっ風呂浴びてから飲むビールは格別ですよね。もちろんビールと言ってもその他の雑酒?ですがね。
 似非ビールの話は置いておいて。往復の交通費より、買った本の総額のほうが安いというのはどういうことなんですか。買った本4冊。貰った本1冊。しかも買ったほうは良心的なサークルが2つ、どちらもオフセットで300円。あとの1冊が豪華なコピー本。似非ビール代込みでようやく交通費の元が取れる計算じゃないですか(その計算式は根本的に間違っている)。ケチってレベルじゃねぇぞ
 でもまあ、元々僕は漫画を全然読まない人間だし、最近はエロって気分じゃないし、それでもコミケでは買いたいなと思えるサークルの、新刊があるサークルの本はチェックができて、そのうえで1つ新たなサークルとも出えたということで、少なくとも零点ではないでしょう。そう、期待できる新たな出会い、SiRo-shirt Brandさんの「家族、始めました。1」
 コピー本なのに50Pもあって、きっと僕が買ったぐらいだから500円以下。しかも肝心の出だしが、「ある日の夜 オレがバイトから戻ってみると 部屋の前に女の子が落ちていた」という年の差カップルモノ。僕を誰だと思っている、超好きです。ハイ。
 しかしその内容が……非常に、重い。そしてあまりにもせつない。「歯ァ立てるな」とか魔法少女とか――いやあ、コミケで買った本で涙したのはきっと初めてだと思うんですよねえ。この物語は続きものらしいので、ぜったいチェックしますよ!

「私、魔法少女なんです。だから、魔法界から修行に来てて、たくさんの人をしあわせにしなくちゃいけなくて、ここに来たのもそのためなんです! 本当です!! …だから…家はないです」

 もっと僕に体力と精神力あれば、もっとこんな、素晴らしい出会いが得られるんだろうと思うと、少し悔しくなりますね。ジャンルのブースをいくらゆっくり回ったところで、見逃すところは見逃すし、手にとって中身を確かめるのも、表紙や絵柄が気に入った本だけですからねえ。