「アルトネリコ2」?

■「アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩」概観?
 きっと僕のプレイの仕方が悪いんだと思うんですけど、52時間あまりかけて1回目のエンディングに到達。
 なるほど。これは明確に、クローシェとルカというふたりの女の子が触れあう物語ですね。主人公は、というよりゲームシステムそのものは、それらの機微を強く見つめ、懸命に護るための方法論を提案し、自ら実行しているにすぎません。
 プレイヤーすらも、直接操作する戦闘シーンにおいて、ビートマニアのようなフィーリングでボタンをリズム良く押下することで、彼女たちが詩を奏でるのをgreatに、perfectに護るよう務めさせられる。これがなかなか難しい。
 そういった具体的な意味においても、この作品はただひたすら彼女たちの物語。彼女たちを容れる世界を音楽がかたどり、意匠できない彼女たちの内面をシステムが形容し、彼女たちの言動につっこみを入れる主人公たちがあって、それら差配の延長線上に、戦闘において彼女たちを護るための操作、任務がプレイヤーに委ねられているという具合なのです。
 
■同プレイ記録?
 だから、最初のころは戦闘の練習ばかりに明け暮れていました。ディフェンドフェイズでのタイミングの取り方がなかなか掴めなくて、でも設定でイージーモードにするのは癪でしょ。わざわざ敵を探して戦闘ばかりをこなし、プレイ時間が10時間くらいになったところで、なんとかgreat60%perfect40%まで持ち込めるまでに。
 まぁ必殺技っぽい攻撃だとタイミング外されて、というか時間が一瞬止まるものだから難しかったけど(あれはズルい)、最終的にはほとんどperfect、たまにミスってgreatというレベルに。レベル上げすぎというのもあるんだろうけど、ラスボスがあまりにも弱くてがっかり。大量に用意しといたハイポーションを1個も使わなかったですよ。
 だってラスボスですよ?そりゃもう苛烈な死闘となるに決まってるし、攻撃にしたって、ふたりの前衛に同時に別のタイミングの攻撃をしかけてきて、×ボタンと□ボタンをマリンバ叩くみたいに操作するのかそりゃきついなぁと想像してひとりワクワクしていたのに。ぷーだよ、ぷー。
 ま、そんなわけでひとまず初回はジャクリエンド。クローシェとルカのふたりは、初回プレイの身にはあまりにも"重く"て、覚悟がつかないときにジャクリが登場、半ば逃避的に彼女に傾いてしまった気もしますが。とにもかくにも贅沢なエピローグにご満悦です。前作の1枚絵すらない素っ気さからすると、今作は一枚絵だけでなく詩まで付いて、まるでぼろアパートからプール付き大豪邸に引っ越したかのよう。この素晴らしさは奇跡的だ。
 はてさて、やっぱりプレイ記録の引継ぎはできないみたいなので、再プレイは最初から…。しかもジャクリのコスモスフィア、トークマター不足でlv8以降見れてないんですよねぇ。初回は攻略サイト見ないでプレイしてきたので、次からはこれを参考にして、入念に進めて、セーブデータを調整し、上手に進めていきたいと思います。

■同プレイ印象?
 それにしても。肝心・真相の部分で前作の世界観・設定を引き継いでいるみたいで、それへの説明が改めてなされないため、前作の内容をほとんど忘れている僕のような記憶力無し人間には、多少消化不良のようなところもありましたね。
 心から実現したいことがあるというのはわかるけれど、なぜそこまでこだわるのか。手段を選ばず実現させようとまでするのか。現に表わしているその痛切な感情は事実としてわかるけれども、そうなるまでに至った理由・動機的な部分を、前作・シリーズとしての世界観・設定に横伸ばし的に依拠しているようで。とはいえ前作のファンでさえ「なんとなくわかるような気がする」程度しか共感を呼び起こせないだろうことが、残念といえば残念でした。その懸命さ・切実さがいまいち浮いて感じられるんですよね。
 そういった意味で、やはり僕は女の子には感情移入できないんだなあと。そうは言うけど、僕はだって女の子じゃないもん、しょうがないですよね。
 クロアが、過去やしがらみのない無色透明の、存在感の薄い立場であるのは、クローシェとルカの心の触れあいという主題、その純度を高めるためには必要なんだろうけれど。しかし、主人公であり、プレイヤーにとってメインの被操作対象である彼が介入し、つかみ取って、その手のひらを開いて僕に見せてくれなければ、少なくとも僕にはあまりよくわからない。薄々見えてはいるけれど、確かに感じることができないんですよね。
 終盤になるとシュンがPTメンバーに加わり、実力やレーヴァテイルとの相性を考慮して、クロアを下げレグリスとふたりで前衛を組ませることになんの躊躇もしなかったのは、主人公として致命的なんじゃないかと思うわけです。性格的に、役割的に(そしてコント的にも)個性の薄いクロアという存在は、彼の想いを希薄にし、その言葉を上滑りさせ、その感情は突拍子もなく、ゆえに登場人物として非常に危うい。あろうことかそれが主人公であるというのだから、その危機はプレイヤーに降りかかるのです。
 もちろん前作のライナーのように根拠もなく熱くなれとは言わない。しかし、彼自身の人間味をもっと深く、濃く描くというようなことはいくらでもできたんじゃないでしょうか。I.P.Dを発症したココナを護るため同僚に剣を向けたクロアに、違和感、不自然さを拭い去れなかった時点で、僕はプレイヤーとして力不足だし、クロアもまた主人公として役不足。そして物語としては説明不足。
 一見クール(無味透明)だけれども心の奥底には不屈の闘志(個性)を秘めている、そういう多少ありがちではある主人公像をクロアに描き込み、両性質を物語の中で巧みに使い分け、ふたりの女の子の物語の純度を損なわずプレイヤー(この場合は僕か)の感情移入を無理なく誘引する、気配りの利いた懐の深いシナリオ術を求めるのは、高望みしすぎですね。
 もちろんこの音楽があれば、このハーモニーに触れたならば、すでに僕の感情はその調べの奏でるがままのわけですけども。