この世界から消えていった、そして戻ってこない僕らの共通体験-バッドエンド-

 「ONE2〜永遠の約束〜」という作品の根底には、「ONE〜輝く季節へ〜」がもつ元来メルヘンチックであるテーマを、メルヘンの世界から掬い上げ剥き出しにしようという意図が感じられはしないだろうか。しかもその"情緒のない"試みは中途で失敗しており、なによりメルヘンチックであるからこそテーマたり得ていた、メルヘンでなければテーマとしてとてもじゃないが存立しえない、非常に危ういバランス上にあるそれを、メルヘン世界から取り出そうとすること自体愚かな自殺行為としか思えない。
 無冠の作品であるならいざしらず、「ONE〜輝く季節へ〜」の続編として、ギャルゲーファンが普遍的に共有するオリジナリティのもっとも大きな部分を構成しているといっていい、この作品のテーマ性を冠してまでこの続編は、いったい何を描きたかったのか、なにがやりたかったのか、僕にはそれがまったく見えてこなかった。
 ONE2〜永遠の約束〜」というこの作品の世界から本当に消えていってしまったのは、ヒロインではなく、「ONE〜輝く季節へ〜」のテーマであり、プレイヤーにとって本当の悲劇は、ヒロインを喪うことではなく、「ONE2〜永遠の約束〜」が受け継ぐべき「ONE〜輝く季節へ〜」の本質の喪失、それはついにゲーム中で"再会"も"再生"も叶わなかった。新たなハッピーエンドを求めてこの続編を手に取りプレイしたファンは、「作品としては決して悪くない、むしろ良作」であるがゆえの身も蓋もない"バッドエンド"の醸すやり場のなさに、身悶えることになるだろう。まるでそれこそが「ONE2〜永遠の約束〜」のやろうとしたことだと言わんばかりに絶妙なバッドエンド具合、不幸なのかそうでもないのか当の本人にもよくわからないような、このなんともいえない心地は、決して良いものじゃないから…。