「GALLERY FAKE」第8話「父の値段」


 今回の話の主人公は女子中学生・友美。彼女が通学途上の電車内で憧れる見た目ダンディーな藤田が、地味でカッコ悪いバス運転手の父親の"本当の価値"を証明する"いい役どころの脇役"に徹した、ちょっと泣かせるいいお話でした。
「見かけやブランドに惑わされずに、本物を知る男のクロノグラフ。君のお父さん、青沼氏の腕を飾るに相応しい一品じゃないか」
 父親の本当の姿を知らず見ようともせず邪険にしてきたことを悔いるように、頬が"ひくひく"ってする感じが伝わってくるような生々しくてきれいに感極まる友美、その直後にまるで戦隊モノの変身シーンかのようなポーズを決める父親の、一生懸命な滑稽さがなんとも泣き笑い。邪険にするようでどうにも気になってしょうがない、友美の父親に対するもどかしい気持ちもいくつかのシーンでよく感じられて、「父親を慕いたい、そのための『口実探し』」。仲良し三人組も含めて、1話完結の話にしては妙に馴染んでしまった回でした。
 ただ、愛知万博無人バスが登場するという記事を読んでしまって、僕の中では青沼氏の本物が風前の灯、ですよ。