メロキュア メロディック・ハード・キュア


 今頃何聴いているんだろうね、まったく。
 このアルバムを聴いてまず感じたのは、「ああ、そうだ岡崎律子さんは『女性』だったんだ」ということでした。というか何フキンシンなこといってるんだろうね、まったく。
 楽曲の提供先であるアニメ作品を一切知らないので、愛着とかイメージとか全然なくてただぼけーっと聴いているだけなのですが。純粋なキュートさと個性的な声色のバランスが、張りのある歌唱力と伸びやかな表現力に裏打ちされていて、恰幅のいいアイドルシンガーって感じの日向めぐみさんボーカルは、とても安心してときめく聴き心地ですね。
 岡崎律子さんはいまさら言うまでもないことだけれど、バックコーラスとして最適の、その吐息のような存在感が純度の高い感情性を聞き手の耳にしなやかに染み渡らせつつ、普段の生活でどうしても入ってしまう、溜まっていたりする心のわだかまりを解きほぐしてどうしようもない、"やさしい"ソロボーカルは、ほんとう素敵過ぎ。
 そしてこの日向めぐみ岡崎律子デュエットは、なんというか、互いの美点が、互いに欠けている部分があるわけでもないはずだったのに、補って、輝いて、デュエットであることすら忘れてしまうほどの自然さ。
 さすがはメロディメーカーのキャッチーな曲調はとても親しみやすく、等身大で潤しい恋愛と恋人たちのほかほかなハートがちりばめられた歌詞。あらためて、というよりまるで初めて知ったかのような驚きをもって、岡崎律子さんがごく普通の女性であったという、その心をベースに音楽を創ってこられたのだなーということを、しみじみと思わずにはいられないのです。