さりげなくずっしりと

βテスト時代からの腐れ縁だった人が、完全引退をしました。
とはいえ既に半年以上ログインして来なかったので、ギルドでは半ば引退扱いのようなものでしたが。無料期間を利用してログインし、全財産を放り出すようにギルドへ寄付して彼は、今朝、さりげなくログアウトして去っていきました。
「じゃあまたどこかで会おう」
「そうだね」
自意識過剰な引退式や、意気地のない引退セールなどおくびにも出さず、クリスマスを過ぎ役目を終えたイルミネーションの灯が消えるかのように、つつがなく飄々と(少しくらい練りこまれた別れの言葉があってもいいじゃないかとこっちが不満に思ってしまうほどに)、彼はラグナロクオンラインという常日の祭りから離れていきました。
とはいえ彼は元々のオンラインゲームファンですから(「FPSが楽しい」とかよく話していた)、ラグナロクオンライン2が出たりした日にはひょっこり再会するような気もするけれども。
βテスト時代、アコライトの聖地フェイヨンダンジョンで出会って、よく一緒に遊んでいた3人組。アコが僕で、右のマジ子が相棒(今も縁が続いています)、そして下のシーフが彼。ダンジョン上階で挙動不審のBOTや外人プレイヤーにちょっかい出してけらけらしていたのも、いい思い出です。
オンラインゲーム(MMORPGというもの)をプレイするのが実質的に初めてだった僕に、ゲームの操作方法からキャラの育成方法、コミュニケーションの取り方から対人トラブルのフォローまで、いろいろとよく教えてもらったし、とてもお世話になりました。無愛想で適当で「めんどくせー」が口癖の彼は、GvGでは根っからの無頼派で、ギルドや同盟では異端者扱いされてしまいがちでしたが、やぶからぼうに不公平狩りの支援役を申し出てくれたり、やると決めたことはとことん取り組むような(唐突に「GvG用のWIZを育成する」言い出したと思ったらあっという間に98レベル)、気持ちの真っ直ぐな"つきあいやすい"キャラでした。
裏表なくラフな気持ちでコミュニケートできる彼の人となりは、きっと初対面であることが当然のオンライン空間で世渡っていくのに適しているんでしょうね。たぶん本人が意図して演じているんじゃないかと思ったりもしますが、オンラインでも内気で友達を作るのが苦手だった僕をなにかにつけて構ってくれる、その気さくな心遣いは純粋に嬉しいものでした。
具体的にいろいろ楽しい思い出があったような気もしますが、それらはあまりに僕の日常と結びついていて、いちいち思い出されるようなかしこまったものじゃありません。とはいえ、まるでエロゲー主人公の設定を地でいく親戚のその後がちょっと気になりますか。それを聞くためだけにも「またどこかで」会いたいものだなぁ。
お世辞にもずっしりと"c ya"