「死というのは勝負して勝てる相手ではありません。何とかなるのは命の不思議のおかげでありまして、私は「不思議だな」ということを実感されている先生に診てほしいのです。自信満々な人は例外を知らないということです。私だけは例外であってほしいわけですから」

「私だけ例外規定」
こういう、元も子もなくどうにもならない人の真実をさらりと口にできたりするところが、宗教家という人種の抜き差しならなく"ずるい"ところです。
たとえば大地震が起こって周りの人たちがことごとく死んでしまっても、なんとなく僕は生き残れてしまうんじゃないかというような、空想的信憑が「私だけ例外規定」なのでしょうね。
たとえば宇宙人が大挙して攻め込んできて周りの人たちがことごとく家畜にされても、なんとなく僕は実は優秀で特殊な能力をもっていて上手く世渡りすることができるというような。
「僕は死にませんっ」というような。
「私だけ例外規定」というファンタジーアイデンティティの主成分として拠らなければ、社会で立つこともままならないような人間もいるのですよ。
宗教は、人を救うために人を不安にさせる。近づきたくないものですね。