びんちょうタン 5話

こんな15分にも満たない放映時間なのに、なんて素晴らしいアニメなんだろう。なんで泣けてしまうんだろう。つくづくそう思います。ああ、このままだと放映中原作買いの禁忌を犯してしまいそうだ。
びんちょうタンを始め登場する女の子たちには、それぞれに境遇があって、社会と関わっていて、生活をしている。子どもなのに日々の糧を得るため働いていたり、同年代の子が学ぶ学校に通っていなかったり、貧富の差や困難みたいなものもきちんと描かれているのに、本人も作品としても卑下するでなく、不満を言うでも声高に非難するでもなく、本当にあるがまま今の時間を彼女たちは嬉々として生きていて、作品(ナレーション)はどこまでも温かい。たくましいんじゃない、ただ無垢でいじらしい、彼女たちのそのあまりの屈託なさに、僕らは同情や共感を通り越して、ひたすら好きになる、そう、好きで好きで仕方がないんです。
健気に生活し働く姿は無性に微笑ましく、新しくできた友達とその家族に誕生日を祝ってもらって幸せな気持ちになり、せっかく働いて得たお米を道にこぼしてしまえば悲しみが瞬時に身を切るようだったし、そしてこの5話のエピソードでは今までで最も辛い思いをしました。
オープニングで仲が良さそうに振舞っているびんちょうタンクヌギたん。彼女の通う学校の仕事をびんちょうタンがすることになったのだから、きっと今回のエピソードでふたりは仲良くなるのだろうと普通思いますよね? ちくタンと友達になる回のように温かいお話が待っているものと予想するのも、無理からぬところですよね? 
もちろん、びんちょうタンと同じくらいクヌギたんも素直でやさしい女の子。雨の中、自分が乗る馬車が泥をはねてびんちょうタンの服を汚してしまった、そのお詫びにと彼女の元に駆け寄ります。キタコレ!!……って、え、あれ?
クヌギたんの素直な気持ち、びんちょうタンの素直な思い。素直なふたりを結びつけるはずの思いやりなのに、どっちが悪いわけでもなく、どうしようもなくすれ違ってしまう。こんな悲しいことってありますか? こんなやりきれないことってありですか? 
まぁ、こうして書くとミエミエな展開といえなくもありません。でもなんて寒いんだろう、悲しいんだろう、本当仕方がない、もうびんちょうタンを僕は全然対象化できないのですから……。