ローゼンメイデン・トロイメントO.S.T

音楽は光宗信吉さん。
アニメ本編では前作「ローゼンメイデン」の音楽も使われており、本サントラは「〜トロイメント」のために新たに書き下ろされた楽曲のみを収録しています。収録時間も40分程度と物足りなく、音楽自体に新鮮味はなく、正直この内容で3000円は払えないと思います。こんなサントラを買うなら「光の螺旋律」のマキシCDを買ったほうが音楽的にもコスト的にも満足できるんじゃないかしら。
ただ、劇中で河原木志穂さん(メグ)が歌う挿入歌が聴けるのはこのCDだけなので、そのために買うというのはアリかも。どちらにせよ、「少女革命ウテナ」の音楽に心酔した身としてはどうしてもパロディ的な意識を拭うことができないあたり、「ローゼンメイデン」の音楽を語る資格はないものと思われます。
可憐で芳醇なストリングスのうねりが心を美的に埋め尽くす、本編第1話の冒頭で使用され「ローゼンメイデン・トロイメント」音楽を代表するといっても差し支えない甘美な序曲M2「誕生」。ゴシック様式に高貴な憂いを注いだストリングスとハープシコードのハイソな小品M3「宿命」。うら寂しいバイオリンとあどけないガラスの音色がひどくせつないM8「薔薇水晶」。妙にサスペンスタッチの気品あるバトル曲M11「Battle of Crystal」、エレキの演奏がいかにも胡散臭い。
件の挿入歌M15「瞬」、稚拙でカスカスの歌唱がかえって、生きる気力を失いつつも健気に生きる女の子の心情を切々と語りかけてくるかのよう。美学に囚われないラフな日常を穏やかに描写するM4「初夏」M16「芽生え」M17「槐」あたりは、ギャルゲーっぽい普通の音楽なのにやけに印象に残りますね。
どこか危うさを漂わせながらも、誠実で上品なサウンドがいかにも光宗さんらしいM20「Wrong Way」。なんだかんだいって、好きなものは好きなんだなと思う瞬間。