創聖のアクエリオンO.S.T.2

創聖のアクエリオン オリジナル・サウンドトラックII

創聖のアクエリオン オリジナル・サウンドトラックII

音楽は菅野よう子保刈久明さん。
CDの録音可能時間をめいいっぱい使って詰め込まれた懐の深いクラシック音楽群に、「こんな凄いサントラがあっていいんだろうか?」と気が気ではいられない、アニメ音楽の常識をはるか逸脱したこだわりと伝統性とスケールに僕は鳥肌を擦ってばかりです。前サントラで収録されていた各楽曲のいくつもの主題が形を変えて幾度も再現し、トラックの構成がそれ自体ドラマを成していく、本サントラは差し詰め19楽章からなる「交響曲アクエリオン」。いやぁ、参りますねえ。こんな"ありえない"もん聴かされたら、他のアニメ音楽が聴けなくなってしまうではないですか。
思うに、1枚のCDじゃなくてたとえば、現地での演奏風景やメイキング映像を収録したDVDを付けて4,500円くらいの値で売っても良かったんじゃないでしょうか。これだけの規模のオーケストラ演奏を"なんでもないこと"のように取り扱っていること自体、格が違います。まったく恐れ入りますよ。
「動物の謝肉祭」を思わせるひょうきんで活き活きとしたサウンドが愛らしいM4「バチカンダンス」。ピアノの苛烈な技巧が激情を余すことなく表現、どこに出しても恥かしくない壮麗でロマンティックなピアノ協奏曲第1楽章、この曲が聴きたかったのよM5「神話的技巧ソナタ」。アコギのゆるやかな音色が穏やかなM6「バロンと太陽」。あどけなくも幻想的な少女の歌声が印象的なM7「Celiane」。
圧倒的な迫力が感覚を麻痺させる驚愕の、M11「Heavens Gate」。やっぱモノホンのパイプオルガンは違うぜ。ふくよかな母性愛を感じさせるアルトソロが素晴らしい、光輝に溢れたアリアM14「トーマの神託」。奇妙な静寂を帯びた音象空間をグレゴリオ聖歌が清冽に浮かび上がるM15「星間連絡船」。ダイナミックで溌剌としたサウンド、作品を通底するいくつかの主題を織り込みドラマ性に富んだ聴き応えある管弦楽曲、M16「Vector Return」。
1stオープニング曲「創聖のアクエリオン」を英訳し、ゴスペル調のコーラスアレンジを施したM17「Genesis of Aquarion」。英詞のキメ部分だけ日本語で「愛してる」というのも含めて、自然に涙が流れてしまう実直な感動が、幸せだ。そして、もはや語る言葉を必要としないエデンの一大情景M18「First love Final love」。その彼岸でリーナが口ずさむかわいらしい旋律が、やさしくも魂震わせるM19「リーナのタンポポ」、後半部分で1stオープニング曲をピアノと弦楽で大切にアレンジして"葬送"し、作品と、そして音楽は完結。
これほど完成度の高い、しかもボリュームあるクラシカルアニメ音楽と出会えたことの奇跡を、僕はここに刻んでおきたいんです。まったく、菅野よう子さんには一生ついていきますから!