先日、街を歩いていたら、赤信号を無視して道路を横断している40歳代ぐらいの女性がいた。
 それを見た幼い子が、母親にこう尋ねていた。「何歳になったら赤信号を渡れるの?」

車の気配がまったくしない横断歩道を、赤信号で渡っても何とも思わなくなったのはいつの頃からだったろう。確か高校生のときまでは律儀に信号を守っていたような気がします。よく下校を共にした友達も僕以上に律儀な性格で、存在意義の乏しいささやかな交差点、5歩分もないような横断歩道ですら赤信号のときは決して渡りませんでした。
自己責任というものを与えられない子どもと、自己責任というものを過信する大人。渡航禁止命令が出ていたイラクに潜入してテロリストに拘禁された人たちは、車通りの激しい交差点の横断歩道を、「タイミングを見計らえばいける」と赤信号で渡ったようなものでしょう。
守るべき法律や規範・良識と、自己責任を天秤にかけて、バランスが取れていればそれがなによりという意識を人が持ち続けている限り、人はいつまでも取り返しのつかないことをしでかしていくんだろうなぁ。