NHKの「迷宮美術館」という番組で、いわさきちひろを扱っていたので観てみる。つくづく僕の萌えの原点は、いわさきちひろであるという思いを強くするのでした。
ときメモ」にカルチャーショック(2次元美少女との邂逅)を受けるよりずっと前から、いわさきちひろに心酔していて、カレンダーはもちろんいわさきちひろ。部屋にいわさきちひろの複製画が額縁入りで飾ってあったりする男子高校生は、なかなかいなかったかもしれません。
飾り気のない真っ直ぐで真っ黒な瞳に感じられる、子供たちの真摯な意思と、淡くあたたかな水彩画(世界)のファンタジー。僕にはそれが、子供という存在の確かさと、母親という存在の貴さを瑞々しく告白して[夢]のような心地でいられる奇跡、強い色と薄い色の対比と融和に胸がきゅんとしてしまうのですよね。
いわさきちひろの描く少女を見つめていると、ありのままのあどけなさ・純粋さに(幼児回帰した)等身大で自身惹き込まれながら、果たして現在の僕は彼女たちに(彼女たちが心底求めている)愛情を注いであげられる存在足りえていないことに対する、忸怩たる思いが滲み出てくる、いつまでも乾ききらない自らのありようについて申し訳ない気持ちが顔を出します。つまり、自分が申し訳なくなるくらいかわいいんです。
1本の線であっという間に描画していくいわさきちひろが、何度もなんども消して書き直して「1本の線では済ませられない」、ベトナム戦争に巻き込まれた子供たちを描いた「戦火のなかの子どもたち」。こんな本があるなんて知らなかったし、カレンダーとかポストカードばかり買ってないで、ちゃんと本を買おうと、この番組を見てつくづく思いました。