物語消滅論―キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」

語り下しということで非常に読みづらい内容、発想が突飛で根拠が自己中で論理が強引な、主張が無秩序に詰め込まれていて食傷するというか、ほとんど大塚英志氏自身のことばかり語っているじゃないかという気がする本書。まぁ「らしい」といえばらしいんですが。要するに文学論なんでしょうなあ。「物語消費論」はどういう内容だったかもう思い出せませんが、新書版で出すには絶妙に難解で、難解であることを著者本人がわきまえていないところが特に疲れました。ただ、サブカルチャーやギャルゲー(萌え)では近代的自我の構成は(十分には)できないというあたり、僕にも心当たりはありますね。まあ、だからといってそれを近代文学的言説が果たすのかといわれれば、僕にはちょっと想像できない領域ではあります。
とにかく、近代文学とか、近代的自我とか、素人にとっては抽象的だし大雑把過ぎますねえ。大塚英志ってこういう野放図なテキストを書く人でしたっけ。うーん。