牧野由依 天球の音楽
- アーティスト: 牧野由依
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2006/12/06
- メディア: CD
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ほとんど「ARIA」の主題曲という形で牧野由依の音楽に馴染んできた僕としては、それらすぐれて情景的な音楽にベストフィットした、淡く素直な歌声と歌唱力云々ではないクリアーな音色を、とてもえがたい素晴らしい素質として認識していたので(白鳥由里の「Baby's Breath」で真骨頂を迎えた「透き通った銀の声」の正当なる後継者のような)。こう言ってはなんですが、中途半端な形でオリジナルの、彼女という等身大・年齢相応の日常的な音楽を聴かされると、少し違和感というか、曲としては悪くはないんだけど「そういう音楽は求めていない」と思ってしまう。歌い手のリアルが表出しない、二次元の情景と空想上の想いをさらさらと奏でる音楽があるなら、そっちのほうが好ましいに決まってるじゃないですか。いや、そんなこともないんですけど…。
僕は正直、牧野由依という女の子のリアルをわかりません。声優としての演技もどこか掴みどころのない、神秘的というより個性のあやふやなところがありますしね。キレイだけど淡白ともいえる細いボーカルなど、なんだか「どこにいるのかよくわからない」存在みたいな。だから、実際に存在している彼女が、生身で抱いている思いや伝えたい言葉を音楽にして表現しようとするのであれば、二次元にイメージを散逸させない、癖といってもいいほどの個性を、しっかりと、横着なまでにサウンドにこびりつかせなければならないんだと思うんです。オリジナルをやるならやる、やらないならやらない。僕は正直どっちでもいいし、どちらかというと情景あるいはファンタジー風なアニソンを歌う神秘系ボーカリスト(霜月はるかより多少内向的な)として僕は今後とも愛好していくんじゃないかと思っていたりするのですが。
なんといってもねえ、「ウンディーネ」が名曲過ぎるのがいけないんですよ!