美郷あき Sincerely

Sincerely

Sincerely

ふだんしっかりとしていて、力強く生きている女性が、あるきっかけで落ち込んでいたり、涙を流しているシーンに出くわしたりすると、僕らはふと「せつない」と感じてしまう。どうしてせつなくなるのか、それは彼女が強いはずだったから。そういった意味で、美郷あきの音楽はとてもせつない。弱いところを弱く歌うのではなく、強く歌うからこそ、せつない。
心身の深い部分からつきあげるような、熱くて厚い彼女の歌唱力と表現力、独立した女性らしい感情がふくよかで、その剥き出しの訴求力はどうにも揺るがせにできません。アニメ・ゲームソングを集めたベストアルバムなのでキャッチーなサウンド目白押しなんですが、ウケ狙いのメロディに埋もれない"張り"、それは女性であるがゆえの艶っぽさ・アニソンとしての媚びがあまりにも感じられないがゆえの、真摯さなんですよね。
ああ、「少女迷路でつかまえて」がアレンジバージョンなのは残念ですが、「明日をとめないで」「モンタージュ」は改めて名曲ですよねえ。むねきゅんですよむねきゅん。「最終試験くじら」はイマイチでしたが…。