Suara 夢路

夢路

夢路

不思議な歌声ですよね、Suaraさんって。中性的というより宝塚の男優的、どこかこの世ならざるオリエンタルな神秘性があるけれども、基本的にお淑やかで、落ち着きます。どんな場所でも空気の色を斉一する管のよう。たとえば余所行きの個性は周囲に拡散する"けれんみ"を免れないけれど、Suaraさんの個性は最初から内向きに焦点する光線のようで、彼女の側に立ってみないとよくわからない。見えない。だからなのか、このアルバムも聴けば聴くほど好きになっていって、発売から3ヶ月以上経った今頃になってようやく、何か感想を書く気になれたという。冬コミでも結構聴いてたしね。
普通、アニソン歌手のアルバムという場合、そのアニソンが要所を締めてオリジナル曲でお茶を濁すという感じなんだけれども(失礼)、この「夢路」の場合それが逆なんですよね。「うたわれるもの」の主題歌、Suaraさんの代表曲となるべき楽曲が、構成的に浮いてるというだけではなく、あれだけ好きでよく聴いていたというのに、アルバムとして通して聴くと妙にイマイチで、なんだか早送りしたくなってしまう。窮屈な感じ、胡散臭い世界観に無理につきあってもらっているようで、ちょっと恥かしい。義理で収録してやってんのよみたいな。それに引き換え「アオイロの空」とか「lesson」とかのほうがよっぽど馴染むし、好き。Suaraさんのボーカルが生き生きしてませんかねえ。
まあ、中島みゆき裸足の「時の河」には面食らいましたが。いやいや、もちろん「キミガタメ」も名曲ですよ言わずもがなながら。