灼眼のシャナⅩ巻

灼眼のシャナ〈10〉 (電撃文庫)

灼眼のシャナ〈10〉 (電撃文庫)

灼眼のシャナ」Ⅹ巻が異様に素晴らしく、感動しました。際限知らずの発想力。強靭なまでの物語力。たかがラノベだっていうのに危うく紙面を涙で濡らすかと心配してしまった。相変わらず戦闘シーンはどういう情景なのか、動きとかよくわかってないんだけども、なんていうか、あれだけ大勢のキャラクターを唐突に登場させておいて、各々に見せ場とか泣かせどころをこれでもかというほど設定してる辺りが、僕にはもうたまらなくて。戦闘シーンばかりなのに、だからこそ情味に溢れていて。例えれば銀河英雄伝説の醍醐味をコンパクトに凝縮したかのような。「大擁炉」モレクの健気な性質とか、「闇の雫」チェルノボーグのツンデレとか、「巌凱」ウルリクムリの奇妙な口調と名将ぶりとか(ちょっとメルカッツ提督みたい)、「凶界卵」ジャリの最期の台詞とか、たくさんの犠牲の元に「棺の織手」アシズがしようとしたことの、なんて哀しさ……。
参った、思い出すだけでまた泣けてくる。もっと厚くてもいい。アシズの元に集っていく王たちの各エピソードとか、いくらでも膨らませてくれそうだ。図書館で借りて読んだんだけど、これは買い直し。絶対必定。