京四郎と永遠の空O.S.T

京四郎と永遠の空 オリジナルサウンドトラック

京四郎と永遠の空 オリジナルサウンドトラック

何をおいても、恋する想いと、深い愛、激情、そして悲劇的といった、アニメ本編謹製のストレートなテーマを、小編成のオーケストラとピアノによって真正面から叙情的にサウンド化した、少しでも斜に構えるとダイナミックに恥かしくなる、超ロマンティックで超シリアスなサウンドトラックです。感傷に浸りまくれます、絶対。そして、僕がこの手のインストゥルメンタル曲に目(耳)が無いのも確かで。正直、アニメ本編は途中で観るのを辞めましたが、サントラだけは絶対聴こうと、1話を見たときから思っていたのでした。好きな人にはたまらなく好きな、徹底的美的音樂。しかも総録音時間は70分弱。これでもかっ、というほどに耽美。
M2「京四郎と永遠の空」は作品のテーマ(テンション)をTVサイズで表現した曲。これを聴けば「ああ、こういう世界なのね」と納得すること請け合いです。夢見る乙女主義をバイオリンソナタ風に奏でたM4「手紙」。M5「京四郎 愛のテーマ」っておい(笑)は、むせび泣くような弦楽の重厚さに痺れます。宮川泰を彷彿とさせる憂愁なピアノ協奏小曲M9「かおんのテーマ」、思わず溜息が出ますね。ポップで健やかなM12「空のテーマ」は、この沈痛なサントラにあって貴重な息抜き。遠国にひっそり自生する可憐な一花を思わせるフルートの音色が心惹かれるM13「せつなのテーマ」、高まる"せつな"さにもう心が引きちぎられるようで、いや、せつな大好きですから。
ひそやかでドキドキする憧れを健気に語るM22「空想」は、空想という曲名が哀しい。眩くて温かいサウンドは、初めて生まれた感情を喜ぶような風合い、M23「片思い」。大仰なまでに無伴奏チェロ組曲第○集プレリュード、パクリのくせして結構大曲で演奏も気合入ってます、M32「マナバスター」。とりあえず言えることは、「京四郎」の名の入った曲はどれもこれも最高に美しすぎるぜということ、M35「京四郎の戦い」。
それにしても。自信作なテーマをバリエーションにして使いまわすでもなく、このボリュームで、各々に其々のしかもすぐれた旋律をきちんと作っていることに、僕は驚愕を禁じえないわけで。サントラはそういうものだとはいえたった1分半-2分弱で終わってしまうのはあまりにも惜しい、もったいない、そう思わずにはいられない。窪田ミナさん、いい仕事してますね。