「ななついろ☆ドロップス」

 070723a.jpg 070723b.jpg.
 「なないろ☆ドロップス」じゃなくて、「ななついろ☆ドロップス」なんですね。アニメ見始めるまでずっと間違って認識していました。
 僕はこの原作はプレイしていないのだけれど、気にはなっていました。それは、僕がよく見に行く竹馬園さんが、以前よく描かれていたので(スタッフとして参加されたりしていたのかな、サイトそのものが「ななついろ☆ドロップス」ファンサイトちっくでした)、なんとなく親しみを感じていたという、「ななついろ☆ドロップス」。アニメ化にあたって、シリーズ構成が島田満さん(「ロミオの青い空」)ということで、これはもう見ないわけにはいきません。そういう僕の事情。
 3話まで見た印象として、これはいわゆる僕の好きなアニメ。理屈じゃなく、感性で。
 作品としてはいろいろつっこみ所満載ではある。欧州から検疫を通さず直輸入したかのような用語、設定を理解しようとする努力を嘲笑うかのように突拍子もなく2頭身化するキャラクターたち、星がきらめくファンタジックな世界観はまるで無邪気なおとぎ話なのに、女の子たちの短いスカートとそこからこぼれるふとももをむやみに描写し、幼稚園児としか思えない精神構造をしたかわいらしいヒロイン・秋姫すももは、なんの説明も根拠も示されず、突然降って湧いた、動いてしゃべる奇天烈な羊の人形の言うことを信じ、理解を超える深度で喜び、落ち込み、思い悩みながら、星のしずく採取活動にこれ以上ないほど真剣に取り組んでいく――。
 正直、作品としてはやばそうな匂いがぷんぷんしている。原作がもともとそういう説明不問の頭悪いテンションなのか、アニメ化にあたって頭悪かったのかわからないけれど、きっとこのまま見続けていっても、チョコレート味な世界観やふしぎ、キャッチーな人物たちの繰り出す仕掛けについて、何がしかの意味のあるメッセージを見出すことは不可能だろう。
 クオリティの高いビジュアルと、眩いばかりの画面効果、メルヘンチックな音楽、時代をときめくいとうのいぢのキャラクターデザイン、幼女趣味をくすぐる衣装とすももの滑らかな呪文詠唱シーンなどを、堪能する、主にいとうのいぢアニメ劇場といって差し支えない。
 それはそれとして、とっても素晴らしいけれど。それはそれとして、僕がより好ましいと思えたのは、やはりというかなんというか、石蕗正晴と秋姫すももの恋愛です。理解以前の原則としてのファンシーさが、意図せずにどうしようもなく遠景に霞んでいき、うやむやになった現前そこに残っているのは、人づきあいが苦手で、赤面して俯き、「うまく言えないんだけど」と口ごもってしまう、不器用なふたりのやりとりと、純粋な気持ち。
 ずいぶん古くさい味わいではあるものの、僕は古いタイプの人間なので、こういうの、正直たまりません。手を変え品を変えてもらって、僕はいつの年齢にあってもこういうのを、好きになってしまうみたいなのですよ。単純なんだな、要するに。
 何の変哲もない魔法少女モノと言ってしまえばそれまでだけど、デキ悪いけれど、不思議と見たくなってしまう、ひどく個人的な魅力を備えた作品であると、僕は感じています。淡いもどかしさと、ふんわりとした幸福感が、いとうのいぢキャラの性質に近くて、このしっくりくるような感受が、きっと好きなんだろうな。
 「恋愛初心者どきどきADV」。確かにこれは、うん、そのとおり。