9月のアニメ最終回感想集?

 本物の悪意というのは、チンピラとか荒々しい言葉遣いではなく、表面上はいたって善人面の、一般人風を装ってなにげなーく近寄ってくるものだということを、思い知らされました。社会勉強になったとはいえ、警察署の上階にあがって、机越しに署員さんと向かいあって座って、1時間も話を訊かれるというような経験は、あんまりしたくないものです…。
 偽造は、こわい。クレジットカードなんて、受取時の本人確認を、偽造した証明書でスルーされ搾取されようものなら、購入時のサインを真似るだけで使い放題ですからね。本当に、新規や更新クレジットカードの受取には注意したほうがいいです。配達時に不在とかありえない。ましてや不在通知を何日もポストに放置するなんて、盗人に搾取してくれと言っているようなものですよ。

おおきく振りかぶって
 最後まで、三橋のあの"きょどきょど"したリアクションが生理的に受け入れられなくて、辛かった…。誰でもいいから三橋あいつを殴ってくれ。
 24話、負けた後の桐青ベンチのシーンはたまらなかったですね。キャプテンの捕手がお守りを手に取ったときの回想とか、投手と抱きしめあって「力足んなくてゴメンな」とか、もう泣いた泣いた…。なんていうんだろう、勝後には感激があり、敗後には物語がある。桐青バッテリーに思いがけず感情移入していたことに気づかされ、もはや勝ち負けとかどうでもよくて(実際まだ予選の1回戦が終わっただけ)、野球というスポーツに取り組む少年たちの、穏やかさの中に浸透している本音と、本気に、無意識のうちにのめりこんでいました。
 主人公の三橋を僕はまったく受け付けなかったからこそ、彼以外の人物の物語が、几帳面なほど多彩で、とても楽しめたという部分もありました。というかあの野球場に集った全ての人たちそれぞれに焦点が当てられ、気持ちが伝わってきたのに驚かされます。グラウンド上の選手たちの交錯する思いは、試合の進行を客観的・論理的にし、ひるがえって桐青吹奏楽部やバンチ入りできなかった野球部員たち、西浦の父兄や応援団員たち、クラスメイトの姿を丁寧に描写することで、臨場感というか、自分がまるでその場にいるかのような熱さすら、感じることができました。
 じれったいほどのリアリティ。たった1試合を終えるのに1クールもかけて、実際のシナリオはひたすら野球の試合だけなので、1点取った取られただの、どっちの攻撃だのといった平板な筋しか見込めないということは、試合そのものより選手たちの思いの軌跡に意識を向けるしかなくなります。そこでの中心はやはり、三橋の一見突発的なうじうじ具合に垣間見える成長、捕手の阿部や他の仲間に対する信頼が描かれているのだろうけども、そもそも三橋への感情移入を拒絶している僕なので、阿部のむかつき具合ばかり共感してしまったのが、残念と言えば残念でした。
 音楽のクオリティは高く、且つ使い方が巧みでした。様々なキャラクターの内面描写(思念)によって物語の大半が編まれているために、野球としての動よりも、思考としての静がとても重要で、その静かなるシーンの、ほんのささいな心理変化をさめざめと照射する、しなやかな弦楽の旋律が特に印象深かったです。
 予選1回戦で終わり。まるでオチのないシリーズで、作品単体として見ると「なんだこりゃ」って感じなんだけど、それはそれとしてざっくり括れてしまえば、とても楽しめる作品だったのではないでしょうか。女っ気がまるでないのは、もう何も言うまい…。

DARKER THAN BLACK 黒の契約者
 さまざまの重要な謎を残したまま、叙情的に最終回を迎えてしまうあたりは、それまでのお話の作り方からしてある程度覚悟はしていたけれど、「ヘイってばカッコ良くて人形にも似非C.C.にも女刑事にも妹にもモテモテのいいヤツでした」というオチは、あんまりじゃないですか。
 合理的に行動する契約者という存在。奇天烈な能力とその対価や、スケールだけで不詳極まるゲートなど、ものすごく深い意味が込められてそうで、実はそれほど深く設定(意味づけ)されてはいなさそうな感じの、見かけ倒しの妙技をめいっぱい拡大解釈して、茶目っ気たっぷりに応用して、けっこう自由にお話を編んできたような気がしますねえ。前後編セットで。つまりまずオムニバスストーリーの動機があって、そのルール(お約束)でしかなかったのではないかなあ。
 大仰な世界観や物語よりも、登場人物たちのやりとりの端々に浮かぶ大人びたウィットに、僕はこの作品の醍醐味を見出しますね。コンクリートのような冷たい日常の、しかしクールにはなりきれない、どこか調子っぱすれの、そうだなあ、あまり冷えていない冷酒のようなほの甘い寂しさが、まるでちょうど今しがたの気候のように、妙に感傷的で過ごしやすいんです。
 なんだかよくわかんないけど、なんか、好き。つまりはこれに尽きるんでしょうなあ。あーあ、全然感想になってないや。