エルザと新シリーズ

 「ああ、そういえば○○なんていうアニメがあったっけなー」という、ふいに胸に湧き上がる感慨をストレートに具現できてしまえるという意味で、ニコニコ動画は凄いなと思います。今までだったら、そういう感慨が時折あったとしても、レンタルビデオ店まで行くほどのアクティブ性は用意できなかったものなのにね。
 初音ミクとか、そういう話題系はまったく触れないで、僕はもっぱらアニメ鑑賞するためにニコニコ動画を利用しています。「Fate/stay night」を全話見たり、「撲殺天使ドクロちゃん」見たりと、そんな感じ。
 そんななかで、「GUNSLINGER GIRL」をまた見てしまったよ。つくづく僕はこのアニメをこんなにも愛していたんだなあ、ということを思い出す。オープニングの、清々しくてどこかせつない象徴的な物語性などは、今となっては神だと思います。これは絶対早送りできない。
 そういえば、インストゥルメンタルとか、英詞の曲とか、こだわりを感じさせるOPって最近ないなあ。媚びた萌えソングか、聞き飽きたような曲調、たまたま最近発売予定の曲を持ってきました的のものばかり。ま、それはそれで悪くはないんだけども。
 なかでも第9話「彼岸花- Lycoris radiata Herb -」は傑作だなとあらためて思ったのですよ。原作はいまだに読んだことないんですけど、今をときめく能登の演じるヒロインが、好意を寄せている男性に冷淡に扱われるだなんて、全くありえないことです。ありえなさすぎて、正直たまりません。特に終盤、ぼう然とたちすくむエルザのせつない姿と、BGM「etereo」のアナーキーなピアノの打鍵との対比が、エルザの大切にしていた価値観がまさにいま崩れ落ちているようで、何度見ても鳥肌が立ちます。泣けてきます。まさしく傑出した名シーンです。
 聞くところによると、アニメの新シリーズが来年放映されるとのことで。
 しかもキャスト・スタッフ総入れ替え。現時点でもはや全然ダメですね。大谷幸さんの音楽は嫌いじゃないけれど、佐橋俊彦さんの築いた音楽は今さら塗り替えられるものじゃないし。小さな女の子のお話を監督させたら右に出るものはいない浅香守生さんの、誰かは知らないが、右にどの面下げて立つというのですか。
 原作ファンにとってはうれしいのかもしれないし、僕としてもまったく別の作品として見ればいいんだろうけど、それは不可能だろう。やっぱり好きになれないなあ、こういう品のない企画。