「夏空カナタ」「殻ノ少女」

 最近はギャルゲーの体験版をよくプレイしているので、その感想をこうして書くことが今後もあるかもしれません。プレイといっても、声優の音声をオフにして、音楽は聞いたり聞かなかったり、オートプレイで眺めているだけというのをそう呼んでよいものならば。
 それにしても、DependSpaceさんはすごいですね。僕がハンドルネームを今のものに変える前の20世紀末、瀬川さんがギャルゲーニュースサイトをオープンさせた頃から知っているんですが、それからずっと運営を続けられているんですよ。継続は力なりとは確かにいうけれど、もうすぐ10年になるじゃないですか。
 生生流転の激しいこのネット世界、多くのギャルゲーユーザーの用と、多くのギャルゲーブランドの益に貢献し続けてきたその歴史は、偉大です。
 個人としても、同じことにずっと興味を持ち続けるということ、それがエロゲーであろうとなんだろうと、素晴らしいことだと僕は思います。どのようなことであれ、長く続けることで価値は生まれる。それが誰かの役に立つものであればなおさらです。
 僕なんて、確かに初めてサイトを開設したのは1998年で、それ以来なんだかんだで続けてきているけれど、サイトの場所も、その内容も僕自身の興味自体が変遷を繰り返してきましたからね。アニメにしろギャルゲーにしろ、見たり見なくなったりプレイしたりしなくなったり。ほんと何にも続かないし人の役に立つということがない。
 まあ、そんなわけで体験版入手のためにまたお世話になります。よろしくお願いします。

夏空カナタ
ゆずソフト最新作『夏空カナタ』2008年5月23日発売
 どうしてもキャラクターデザインが好みで気になってしまうんですが、こうして体験版をプレイしてみると、しょせんは「ぶらばん!」のゆずソフトだなあというか。
 シナリオがかなりダメそうな予感。物分りが良く礼儀正しい好青年である主人公が描写する世界というものに、ほとんど興味をそそられないんですよね。単調というか、投げやりというか。情緒というものが欠如している。
 物語紹介を読む限りでは多少面白そうだったんですけど、しかしこの体験版であきらめがつきました。なんて浅い、短期記憶障害とか、きっとすごいファンタジーで解決させられちゃうんだろうなあ。
 もちろん、立ち絵からして由比子や茅羽耶の上目遣いにわけもなくドキドキしてしまうくらいだから、ただのエロゲーという意味ではきっと期待を裏切らないのだろうけれど。そういうのは内容があってのことだから。今度ばかりは中古で安く売ってても手を出さない。

殻ノ少女
Innocent Greyが贈るサイコミステリィADV第三弾 「殻ノ少女」2008年夏発売!
 これは面白そうな推理ADVですね。
 製品版には含まれない内容だという、この体験版。プレイ時間が1時間にもみたないささやかなものだったんですが、それでも期待せずにはいられないこの落ち着いた味わいある雰囲気と、ハイクオリティなサウンドはどうだろう。
 「現在ほとんど見られなくなった一世代前の推理AVGを採用」、いいじゃない僕は一世代前のプレイヤーだもの。犯行現場で怪しい場所をクリックする捜査パート、この体験版に含まれていたかどうかわからないけど「手帳システム」とか、まるで「探偵 神宮寺三郎」シリーズみたいだわ。
 システム周りは古風ながら安定した感じで、巧妙な視点変更、演出的に挿入される縦書きテキストなども含めゲームとして意欲的。18禁であるがゆえに容赦ないグロテスクさにあって、ひときわ映える耽美なヒロイン、彫りの深い男性キャラはいかにも推理AVGという感じで堪りません。
 登場人物も多いようで、あまり感情移入できるタイプのギャルゲーではなさそうだし、好いた惚れたにうつつを抜かしていられないだろうけど、たまにはこういう古くさめの本格派ミステリーもいいでしょう。主人公の妹・時坂紫がかわいいしね!
 まあ、同ブランドの先行作「カルタグラ」はシナリオが惜しかったという評価が大勢を占めているみたいで、不安はなくもないんですが。応援しますよ、いいですね?