あいさつとは、他者の存在に気づいていることである。とするなら、それは人間社会のはじまりでもある。現実に、世界のあらゆる言語にあいさつの言葉がある。それだけは共通している。
 日常の怒りや喜びの多くは他者との関係の上に生じる。あいさつがかわされていれば初めから存在しなかった現代の複雑な問題だってあるに違いない。
 一つの言葉は決して単独で存在するのではない、つながっている言葉を次々に呼びあって一つの社会を構成する、言葉はそれ自身が社会なのだ―