冷えた朝と横断歩道の女子高生

 めっきり冷え込んできた朝。
 自転車をこぐ女子高生の生太ももがいやらしい、というより寒々しく感じられます。
 視点を工夫すれば絶対見ることができると断言できる、スカートの短い女子高生が、5歩幅もないような横断歩道の赤信号を、サドルにお尻を乗せたまま足をついて律儀に守っていました。
 誰もが忙しい朝の気分。そんなくだらない横断歩道の信号なんて守りはしません。現に彼女の脇をバス停へ急ぐサラリーマンが通り過ぎていく、そんな光景をフロントウィンドウ越しに眺めながら、僕は思っていました。
 当人の人格がスカートの丈を短く規定するのではなく、もはや制服という服飾それ自体が丈を短く規定しているのだなあと。
 当初は、身なりに人一倍敏感で、自分のスタイルに自信があるような女の子たちが率先して、強引にスカート丈を短くしたのだろうけれど。いつしかそれが、大多数の女の子たちにとっては、学校が彼女たちに制服の着用を義務付けるように、着る本人たちが、流行という約束と「周りから浮きたくない」という規則によって、スカートを短くしなければいけないという、センシティブな事情として降りかかっていったのではないでしょうか。
 まるで彼女たちのお年頃が伝染するかのように、スカートひらひらは見る者にとっても多感な気分にさせます。枯れ葉舞う街路を、背筋をぴんと張って自転車のペダルをこぐ彼女たちは、澄み渡っていて美しい。生足だったり黒ストだったり、そんな感慨は、いたって僕のたいせつなものです。
 だけど「埴輪ルック」だけは勘弁な。