原油高と廃油の温泉

 仕事先で、僕がよく行くスーパー銭湯のタオルを首に巻いている職員を見かけたので(この真冬に)、「あ、僕そのスーパー銭湯よく行くんですよ」と話しかけたんです。そうしたら、
 「俺もよく行くんだけど、あそこ休業しちゃったよね」――。
 なんですと!?
 だって今月も上旬に一度行ったんですよ。「何かの勘違いなんじゃ」と半信半疑でwebをチェックしてみたら、「当分の間、施設改修のため『休館』とさせていたただきます」という告知文が…。ネットでチェックしてみても、「行ってみたら閉まっていた」「電話したら休館を告げるメッセージが再生されるだけ」と、休業というのはいよいよ本当のことのようです。
 気分が塞ぎこんだり、もやもやしたものがあるとひょっこり訪れていた、月に2度は1時間以上のんびりと過ごしていたこのスーパー銭湯が、利用できなくなるというのはけっこう痛い。そもそも何の前触れもなく突然休業というのは経営的にかなり危ない気がするし、営業再開日とやらはいったい訪れるのだろうか……。
 思えばこのスーパー銭湯は不運と災難が続きました。長い間温泉掘削を続けてきて、ついに温泉導入の予定がたったとたん、例の渋谷スパ爆発事故でしょう。それで自粛というか、延期を余儀なくされ。
 2ヵ月くらい後だっけな、仕切りなおしで温泉導入、同時に料金も一律アップさせたものの、その肝心の温泉が、なんというか微妙で。
 まんま泥水というか、まるで廃油のような見た目最悪のにごり具合。もちろん匂いはしないんだけど、首まで浸かって胸が見えないくらい、素晴らしい暗黒度を誇っています。
 男はまぁ構わないけれど、女性はこの温泉じゃちょっと引くだろうなあ。
 温泉を導入している市内のほかのスーパー銭湯では、普通に無色透明らしいし。せっかく掘り当てた温泉にも恵まれず、昨今の原油高・燃料費高騰でしょう。まさに泣きっ面にハチ。考えれば考えるほど、休業というのもわからない話ではありません。というか仕方がないといえるのかも。
 しかし、残念です。いまさら別のスーパー銭湯に乗り替えるというのもなあ。そもそも別のところと比べて気に入ったから、通っていたわけで。
 嗅げないとなると、あの塩素臭もまた、恋しい。