息子の初恋、僕の起源

 うちの一人息子は、小学6年生になるのに、まるで女の子に興味がない。
 私の淡い初恋は、小学5年の時だった。息子ぐらいの年齢になれば、異性を気にかけるはずなのに、「おれには一生、恋なんてない」などと言う。
 仕方がないとあきらめていたが、先日、息子の独り言を聞いてしまった。
 「ももこちゃん以上の子なんているわけない」
 えー。あのももちゃん? 彼女とは幼稚園の時に一緒に遊んでいた。小学校も同じだったが、3年になって引っ越してしまい、離ればなれになっていた。
 ももちゃんのことが好きだなんて、知らなかった。でも、今思い起こせば、一緒に遊んでいた時の息子は、幸せいっぱいの顔をしていたっけ。
 そうだ。ももちゃん一家をうちに招待して、バーベキューでもしようか。
 ただし、ももちゃんに好きな男の子ができていなければいいなあ。(某日付読売新聞朝刊)

 幼稚園といえば、おさんぽとかで園の外に出るとき、男女2列に並んで歩いていくんだけど、無条件で女の子と手をつなげたのが嬉しかったなあ。何の順で並んでいたんだろ、だいたいいつも同じ女の子でね、その子がさぁかわいかったんですよ。ただ、写真は残っているけど、名前も思い出せない、今となっては調べようもないわけで。
 初恋なんて、それくらいのあいまいさがちょうどいいのかもね。
 しいていえば、初恋ばれんたいん。いや、特に意味はありませんが。
 思い出は美化され、初恋の女の子は美幼女化する。僕のロリコン癖も、幼稚園着萌えも、きっとあの子の手の感触がいけなかったんだ。