眠るような夢の勧誘"ぐっすり"

 眠ることは好きですか?僕は大好きです。
 最近、寒いのでよく眠ります。「ちょっとあんた、寝すぎ」と母親に叱られるほど、目覚ましをかけないでいると平日でも平気で8時間とか、9時間寝てしまうのです。そして、もそもそと起きだして、まず時計を見て、「しまったー寝すぎた」ーと唸ってしまうのがお約束。何がしまったのか、まだそんなことまで頭は回っていないのだけれど、なんとなくくやしい。しあわせなのに、悔やんでいる。なんだかとても不思議です。
 最近、寒いのか猫が布団に入ってきます。以前まではそんなことは決してなかったのに、布団に連れ込んだりすると死に物狂いで逃げ出そうとしたものなのに、年老いてもうろくして、世の中のあらゆることがもうどうでもよくなってしまったんでしょうか。鼻を突きたてるようにして布団の中にもぐりこんで、僕の腕を押し退けるようにして、僕の寝域を侵略してきます。
 ふと目が覚めると、猫が僕を睨んでいたりするのはちょっとしたホラー。よく寝る者同士、仲良くいっしょに寝ましょうよという発想はお互いないらしい。って当然だよ、オス猫だもの(去勢済みだけどね)。
 そう遠くない未来、死ぬ前の彼に一度聞いてみたい。「君にとって、眠ることはしあわせでしたか?」と。
 もしかしたら彼は、気を利かせてこう答えるかもしれません。
 「これからほんとうのしあわせになりにゆくんだよ」、と。