光とイラストの相対主義

 インターネット回線をADSLから光に変えて、いちばん「うれしい」と実感できたのは、何をおいても外から電話がかかってきても回線が断絶しないことでしょうか。
 僕にとってラグナロクオンラインでの強敵は、超兄貴でも孫泰蔵でもなく、かかってくる電話だという日々は終わりを告げました。くだらないセールス電話による忌まわしきデスペナは、もうないのだ。わーいわーい。
 それに次いでうれしかったのは、重くて表示に時間がかかっていたフラッシュが瞬間的に表示されるようになったこと。「アルトネリコ2」の公式サイトなんて、「キャラクター」を筆頭にどの項目もやたら重かったものが、今見ると激早ですからね。
 まあ、クリアしたゲームの公式サイトを今見てどうするよという話なんですが(感想も総括していない)。
 「ロード中」というゲージ画面が出てすぐ消えます。「ざまあみろ」って感じです。
 あとは、トップにやたら重い画像を配置している絵描きさんサイトの表示にストレスを感じなくなったことでしょうか。表示が重ければ重いなりに、空腹は最高の調味料みたいに独特の文化(意識)が宿るものですが。まあ牛丼と萌え画像は早く出てくるのに越したことはありません。
 画像といえば、駄文にゅうすさん経由で知った[Pixiv]というイラスト登録サイトに最近登録しました。
 本来なら絵を描く人が自分の作品を投稿するのが基本で、僕のような描画能力ゼロ人間が立ち寄るべきサイトではないんでしょうが。あつかましいことこの上ないんですが、デイリーランキングを1日1回眺めて、気に入ったイラストの作者を無分別にお気に入り登録しています。楽しいです。
 ブックマークとして画像単位で管理してもいいんだけど、好きな絵は、要するに好きな作者さんなので、どうでもいいことかなと思ったりもします。あとはタグかあ。……タグってなに。
 イラストといえば、麦畑のむぎさんの描かれたイラストがインターネットで無断転載されたとのことで、ご本人が「思いっきりモチベーションが下がります」と書かれていました。僕も気をつけなくちゃいけないと、我がことのように申し訳ない気持ちにさせられます。むぎさんの同人誌が読めなくなるのはつまらないですから。
 本当は、自分で保存したエロゲーの画像(イベント絵)だって、ブログに掲載してはいけないんですよね。わかってはいるんです。でもつい、テキストを書いていて「どうしてもあの絵を挿入したい」と思ってしまう、くだらない欲求を前にして、そのどうでもよさ加減が却って、著作権保護という規範意識をうやむやにしてしまいます。
 非営利の個人利用だし、作品の話題を扱っているんだからそれくらい許されるだろうと。とんだ思い上がりですよね。僕がそういう意図で掲載した画像であっても、しょせん無断である点、そして第三者に営利的に使用されるおそれがあるという点が、問題なのですから。
 いけないいけない。そう書いときながら過去のエントリーから削除しようともしないところが、救いがたい……。
 ま、まあそういった意味で、longlongtimeのしろさんは、変わってるというか、すごいなと思うのです。トップページに、

サイト内の画像などはご自由にお使いください
加工、再配布などもご自由に

 と律儀に書いてあるんですから。「サイト内の画像」って、あの美少女イラストのことですよね。違うのかな。
 確かに、どこぞのスレッドを開きさえすれば、古いコレクションから最新の作品まで、一流絵師たちによる美少女イラストが気の滅入るほど鑑賞できる時代ではあります。それにしたって、同人誌として、あるいは商業作品として販売されているイラストと比べて遜色のないそれらを、プライベートとはいえ著作権フリーと宣言してしまえる思想、あるいは精神というものに僕は興味があります。
 自我というものが希薄、とまでは言わないものの、物事に対して自他の別なく、ストイックなまでに相対的ということなんでしょうかねえ。
 ところで、しろさんの画集「-Segment-」(amazon)に寄せられたコメントが実に正鵠を得ていて、というか僕がしろさんの絵に常々感じていたことを明快に言語化してくれています。
 他の著名なイラストレーターと比べて致命的な欠点をいくつも指摘しつつ、それでも妙に気になる、わかっていて意識してしまうというところまで、まったく同感。

で、ぱっと見の絵の技術を見るなら上記の通り、
ひたすらボロクソにしか書けない訳ですが、
これがどうにも先生の絵には不思議な魅力があるのです。
触れたいというより抱きしめたい感じというか、
寝ている猫を眺めているような、感傷的ながら暖かいような、
萌えだとか癒しだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ感じです。

 わかる、わかるなあ。
 徹底した相対主義の果てに、理屈でなく貴く思ってもらえたら、やさしくしてもらえたら、それはとても幸せなことなのかもしれませんね。いつかこのブログでしろさんのイラストを飾ってみたいものです(夢)。
 しろ画集-Segment-