着うた全開と、ウニ責任問題

 今日、母親と月イチ恒例の100円均一回転寿司に行った、そのときの話。
 開店してすぐに入ったんですけど、うちらより早く店に着いて開店を待っていたらしい女子中学生4人組が、隣のテーブル席に座ったんですね。ちょうど僕が座った背中側にあたり、彼女たちのやり取りが至近で聞こえてくるわけですよ。だからまあ、聞いていたと。べ、別に聞き耳を立てていたってことじゃないんだからねっ!
 やれ「明日の体育マラソンだよ、めんどくさー」だの、「数学の○○うざくね?」だの、「だいたい休み時間短すぎ」だの、いかにも女子中学生ちっくな他愛ない学校話を、「そんなことでどうしてそこまで盛り上がれる?」とこちらが奇妙に思うほどのハイテンションさで、ワイワイやっているんですよ。
 ぶっちゃけこの時点で既にうるさいし、文句を言ってもいいくらい迷惑なんですが。言葉使いは変わっても内容はいつの時代も変わらないなあなどと、微笑ましく思っていた部分もありました。彼女たちのリア顔を直接見ずに済んでいたことが、僕の妄想をノンストップという側面も否定できません。
 話の様子からすると、彼女たちはこれからカラオケボックスに行くらしく、その前の腹ごしらえをするためにこの回転寿司にやってきたらしい。それはわかる。わかるんですが。
 何を思ったか彼女たち、僕と直に背中を合わせているひとりがおもむろに携帯電話を取り出し、"決して控えめでない音量"で着うたを流し始めたじゃないですか。しかも「カラオケでこの曲歌おー」などと、あろうことか口ずさみやがるんですよ。やがてみんなでユニゾン。こうして愛の歌は世界へと広がってゆkうるせぇんだよ!
 しかも、一向に皿の進まないみんなをはやし立てるように、「誰かあのウニ食べなよ」と通路側の女の子が言ったのを、勘違いというか素直に受け取ったレーン側の女の子が、そのウニを取ってしまった。
 「ちょ、あたし食べるつもりじゃなかった」「なによそれー」「誰が食べる?」「つーか誰か食べれんの?」「ウニなんてあたしキモくて食べれなーい」「戻そーよ」「残したっていいんじゃね?」などと、延々にウニの責任を押し付けあう始末――。
 お前らウニに謝れよ! 100円だってウニはウニなんだよ、プライドがあんだよ! 俺はこれはこれで旨いと思ってんだよ!
 というかお前らわさび入りで食えもしない寿司屋来てないで朝イチでカラオケボックスに入ってフライドポテトでもパクついてろよ。それが似合ってんよ、最高だよ。
 ちなみに、彼女たちの会計時、店員が数え上げた皿の合計枚数、8枚。ウニ責任問題の結末については確認できませんでした。
 要するに彼女たちはただ、どこでもいい、騒ぎたかっただけなのだと。
 異文化理解というのは実に難しい、取り組もうともただ無意味に疲れをもたらすだけだと、僕は実感したのでした。
 女子中学生なんて二次元か妄想か、せいぜい回想シーンだけで十分だ。