コイン洗車場に粘り勝ち?

 先日、戦うことすらなく"おめおめ"と撤退したコイン洗車場。
 今日こそはと、汚名をすすぐ大いなる決意を秘めて、僕は出陣したのです。
 サイトをよく読んでみるとですね、水だけが出る機械も設置してあるみたいで、それを使ってまず車を水洗いし、既に購入してある専用洗剤で水垢をごしごし落とすという戦術ならいけるんじゃないか、そう考えたんですね。
 まず、その水洗い専用の機械に車を寄せ、料金をチェック。ふむふむ、4分間で400円か……よく考えるとものすごく高い気がするけど、これは戦(いくさ)だ金を惜しんでいては戦えない。さっそくコインを挿入。
 まるでマシンガンみたいな形のホースを手に持って、放水スタート。
 うおおおお、これはすごい勢いだ、まるで校庭とかに設置してあるスプリンクラーを間近で見ているようです。これはいける! ぶわーっと車を水浸しにして、一時停止のボタンを押下。さっそくスポンジに洗剤を染みこませてウォッシュ開始ですよ。
 ごしごし――。
 ごしごし――。
 ごし――「キンコーン、利用時間が終了いたしました。ホースを巻き戻してください。キンコーン、利用時間が終了いたしました。ホースを巻き戻してください」
 ちょっと待てぇぇい!!
 そりゃないだろ、慌ててホースのレバーを持ち出して放水スタートボタンを押してみると、もう水が出ることはありませんでした…。おいおい、一時停止ボタン押しといたじゃないかよ。押してからまだ何分もたってないじゃんよ。
 えーと。機械に書いてある注意書きをよく読んでみると。一時停止は300秒までで、それを過ぎるとカウント再開、基本的に水を使おうが使うまいが4分が経てばサービスは終了、ということらしいです。
 なんだそっかー。あははそうなんだー。
 って、ふざけるなああああああああああ。40秒も使ってないよっ。
 300秒、つまりたった5分でどうして洗車を終えることができる? ある程度の制限をかけるのは仕方ないが、それが水量じゃなく時間というのも納得いかん。早さじゃないでしょ、こっちはじっくり丁寧に洗車したいんだから。
 それに僕以外の客は1人だけ、僕が終わるのを待っている人がいるわけでもないのに、時間制限をかけて回転率を気にしたって意味ないっしょ。
 はあ。この洗剤まみれで洗車途中な事態を僕はいったいどうしたら……。また400円払えと? 冗談じゃない。
 まあ、こんなこともあろうかと一応バケツを持ってきていたので、前回来たとき隣の客がバケツで洗車していたしね。僕もそのときの客と同じ場所に停めて洗車していたということもあり、なんとか事なきを得ましたが。恐ろしく手間がかかりましたよ。
 あの、スーパー銭湯でよくある、押下すると数秒間だけ水が出るタイプの蛇口を押し続けながらバケツに水を注いでいるとき、そもそも400円すら払う必要あったのかな、最初からこのバケツと洗剤と蛇口を使って洗車していれば良かったんじゃないのかなと、さわやかに、心の底から僕は思いました。
 初夏導入編めいたうららかな午前の日差しに、額の汗を腕で拭いながら、機械の力に頼らない洗車作業に励むこと1時間以上。確かに水垢は気持ちよく取れ、車は見違えるように真っ白になったけれども、しかしどこかすっきりしない、釈然としない、そんなコイン洗車場決戦第二回戦でした。
 「すごい綺麗になったじゃないの」、母親は大絶賛。そりゃあんたにとっては無料だもんな、いくらでも絶賛したくもなるだろうて。