脳内チップと萌え顔メーカー

 病気で失われた視力を、電子機器の「目」で再生しようとするという技術が、実用化に近づいている。(略)
 世界の大半のチームは、眼内に埋め込んだ装置から電気信号が出る方式だが、脳へ直接、チップ「情報処理経路」を埋め込む研究も一部で行われている。実現すれば、網膜だけでなく視神経の損傷など、幅広い患者に福音だが、一方で倫理的な問題も浮上する。
 「脳への埋め込みも、視力回復が目的ならば批判は少ないが、依存症の治療に応用されてもいいのだろうか?喫煙が過ぎる人は(タバコを吸いたいという脳内の情報を遮断する)チップを脳に移植するような時代が来るのか」(フユマン教授)
 技術の進展に倫理面でどう対処するのか。昨秋から始まった専門家を集めた検討会議も熱を帯びている。(読売新聞)

あなたの顔も“萌え顔”に──「萌え顔メーカー」開始(from インパルス☆レビューさん)

 アドワイアーズは3月7日、携帯で撮った顔写真をアニメキャラのように加工する無料サービス「萌え顔メーカー 〜もえもえにしてあげる〜」を開始した。利用料は無料。
 ケータイ写真を「moe@soragao.jp」宛てにメールすると、萌え顔の写真に変換して返信してくれる。3000種類以上の萌え顔パターンを用意する。

 たとえば、3次元の人間の顔を2次元の萌えキャラに変換するチップを脳内に埋め込むことができたら、僕らはリアル世界を脳内のそれと同じように愛することができるようになるのでしょうか。
 みつみ美里パッチとか、CLAMPパッチとか、個々人の好みやその時々の気分で脳内変換する萌え顔のキャラデザを選択できる時代が来たら、そのとき、現実と空想の区別とやらはいったいどうなっているんでしょうね。それならそれで、現実を空想として生きる上でのモラルというような、新しい規範が声高に叫ばれるようになるんでしょうか。
 確かに興味深い想像ですけど、まるで蛇口をひねったらジュースが出てくるというみたいな、子どもじみた話でもあります。
 世界が加速度的に複雑さを増してゆく中、萌え顔というのはようするに、単純でどれも同じだということ。複雑そうな内に"ほろっ"とこぼれくる単純な部分を好ましく思うというようなことが、愛情の動機なのだとして。そういうのをいちいち見い出すのが面倒になったとき、萌えという好ましい単純さしか存在しない世界を、僕らは欲する。
 萌えというのは、なんであれ、人を、世界を「好きでいたいんだ」という人の本質の、とある一面なんですよ。世の中の全ての人間の顔が萌え顔に変換された世界とは、そんな本質のあどけない夢。それは無邪気そのもので、ゆえに、誰をも愛さずにはいられなくて、誰をも愛することができなくなる世界だということを知りません。