eufonius Apocrypha

Apocrypha

Apocrypha

アニメ「神曲奏界ポリフォニカ」OP曲。といってもまだこのアニメ、1話のOPまでしか観てないけれども。
やわらかいピアノの音色で始まるどっこいポジティブなナンバー。アニソンらしい王道の盛り上がりをみせる手堅い作りながら、ノリだけで終わらせないeufoniusらしさをちゃんと発揮、これだからアニメを観てなくたって外せませんよね。間違っても派手ではない、素朴で内向的ともいえるボーカルは、淡くも揺るぎないコーラスと端正に親密に構成され、世界を象る弦楽と、時空を刻むバンドによって、実に晴れやかに響き渡る。音楽自体が、どこか少年の成長譚のような感慨を抱かせます。間奏の控えめジャズピアノもなにげにいいですね。
C/W「楽園」は一転して、ゆるやかで、おだやか。だいたいピアノと弦楽という大人しい演奏による、あたたかくもせつなげなバラードは、ちょっと悪くない。ボーカルの素っ気なさはあまりバラード向きとは思えないけれども。そう思ってしまいかねないオリジナルは、やっぱむずかしい。

水橋舞 夢、ひとひら

夢、ひとひら

夢、ひとひら

アニメ「ひとひら」OP曲「夢、ひとひら」は浅見ユウコのボーカル。
可憐な出だしから前向きな曲調、わかりやすいメロディラインは、いかにも少女漫画原作アニメのオープニングといった感じ、個人的に聞き心地が良すぎていけません。AとA'パートのそれぞれ旋律部分を繋ぐように叩かれるピアノの、鮮やかで甲斐甲斐しい情感がとても印象的で。春うららかな日に何か新しいことを始めてみたくなるような気分にさせてくれます。「咲かせよう」と歌うサビの部分、浅見ユウコの歌い方とが本当、ぐずぐずとなかなか咲かなかった花がついに開いたようすを瑞々しく描いているようで、これもポイント高し。
カップリングは同じくアニメ「ひとひら」ED曲「スマイル」で、歌は水橋舞。
コーニッシュの中性的で溌剌としたサウンドが妙に嬉しくて、くすぐったい、これもまた前向きいっぱい元気ソング。気分上々の爽快な曲風を肩肘張らず流れるように、嫌味にならない無垢な音色を凛々しく重ね合わせて、本当に「どこまでも」聞いていたい、気持ちのいい曲です。

水橋かおり他 スケッチスイッチ

スケッチスイッチ

スケッチスイッチ

アニメ「ひだまりスケッチ」OP曲。
今思うと、良くも悪くもアニメの内容とよく合った、わけのわからない歌詞と、とにかく可愛いメロディの、ひたすら掴んでつかむ天下御免のアニメソング。結局、アニメのほうはほとんど観なかったんですけどね。「だからどっちなんだよ!」と突っ込まずにはいられない、不条理スレスレな、まあそんな曲であり、アニメでもあったなあ……。ただ、水橋かおり新谷良子後藤邑子阿澄佳奈のユニゾンがやけに相性いいような気がします。誰か目立たず誰も隠れず、テンションも声質も見事に合ってるんですよね。ま、だからといって調子乗ってグループ結成してオリジナル曲とか作らないでくださいね。
C/W「おんなのこパズル」は、阿澄佳奈のソロナンバー。こちらはちょっと聞くに堪えないので却下、ごめんね。

marble 芽生えドライブ

芽生えドライブ

芽生えドライブ

アニメ「ひだまりスケッチ」ED曲。
さわやかで、けれどどこかまったりとしていて、限りなく寝起きのカジュアルと、くつろいだ日常感。それがサビで弾けるようにして、物語が始まる、そんなワクワク序論のような曲。あくびをしている間に吸収した生理食塩水のように、妙に馴染んでつつがないボーカルも、まるで初めて聞いたような気がしませんね。
ところが、C/W「凛」はとても女性らしいボーカルでどきっとしてしまいます。ひそやかな低音部に耳を傾けていると、情感的な中・高音部にはっとしたりして、ゆったりしているのにせつないナンバー。よく知らないけれど、いいアーティストじゃないですか。どこの誰よ?

京四郎と永遠の空O.S.T

京四郎と永遠の空 オリジナルサウンドトラック

京四郎と永遠の空 オリジナルサウンドトラック

何をおいても、恋する想いと、深い愛、激情、そして悲劇的といった、アニメ本編謹製のストレートなテーマを、小編成のオーケストラとピアノによって真正面から叙情的にサウンド化した、少しでも斜に構えるとダイナミックに恥かしくなる、超ロマンティックで超シリアスなサウンドトラックです。感傷に浸りまくれます、絶対。そして、僕がこの手のインストゥルメンタル曲に目(耳)が無いのも確かで。正直、アニメ本編は途中で観るのを辞めましたが、サントラだけは絶対聴こうと、1話を見たときから思っていたのでした。好きな人にはたまらなく好きな、徹底的美的音樂。しかも総録音時間は70分弱。これでもかっ、というほどに耽美。
M2「京四郎と永遠の空」は作品のテーマ(テンション)をTVサイズで表現した曲。これを聴けば「ああ、こういう世界なのね」と納得すること請け合いです。夢見る乙女主義をバイオリンソナタ風に奏でたM4「手紙」。M5「京四郎 愛のテーマ」っておい(笑)は、むせび泣くような弦楽の重厚さに痺れます。宮川泰を彷彿とさせる憂愁なピアノ協奏小曲M9「かおんのテーマ」、思わず溜息が出ますね。ポップで健やかなM12「空のテーマ」は、この沈痛なサントラにあって貴重な息抜き。遠国にひっそり自生する可憐な一花を思わせるフルートの音色が心惹かれるM13「せつなのテーマ」、高まる"せつな"さにもう心が引きちぎられるようで、いや、せつな大好きですから。
ひそやかでドキドキする憧れを健気に語るM22「空想」は、空想という曲名が哀しい。眩くて温かいサウンドは、初めて生まれた感情を喜ぶような風合い、M23「片思い」。大仰なまでに無伴奏チェロ組曲第○集プレリュード、パクリのくせして結構大曲で演奏も気合入ってます、M32「マナバスター」。とりあえず言えることは、「京四郎」の名の入った曲はどれもこれも最高に美しすぎるぜということ、M35「京四郎の戦い」。
それにしても。自信作なテーマをバリエーションにして使いまわすでもなく、このボリュームで、各々に其々のしかもすぐれた旋律をきちんと作っていることに、僕は驚愕を禁じえないわけで。サントラはそういうものだとはいえたった1分半-2分弱で終わってしまうのはあまりにも惜しい、もったいない、そう思わずにはいられない。窪田ミナさん、いい仕事してますね。

ひまわりっ!! O.S.T

アニメ本編は結局観ないまま、サントラだけ聴いた「ひまわりっ!」の続編も、やっぱりアニメ本編は観ずにこうしてサントラだけ聴いてるんだよなあ……(今回はOPの「ソラ色のつばさ」も買ってしまった)。ただ、日本の里山風景を、どこか懐かしく、ふいに悲しげに描く音楽というそれそのものが、純粋に、僕は弱いんだと思うんですね。それだけなんです、それで十分なんです。番外編のショートドラマを削ぎ落としたら42分程度しかならないサントラでも、いいんです。
しんみりと朴訥としたメロディを、琴、尺八にシンセサイザーという"今日的視点による懐かしさ"によって奏でられるM1「雫〜SHIZUKU〜」、ああほら、1曲目からもう涙腺緩んでるよ……。M2は「風便り-回想編-」、「風便り」自体は前作のサントラに収録されていたっけ。M5「刹那」、心細いようでじっとり重々しい、ああ、このシンセは富田勲の音楽を思い出します、これも泣ける。M7「大江戸COWBOY」M13「月華」の「ほわぁ〜」という声が脳みそにこびりついてしまったんですが。M18「パルナスの踊り」は、滑稽というか珍妙な音色(サンプリング?)が、踊りといえば踊れるかもしれない奇妙なメロディ、次第に早くなるにつれてこれもまた(嫌な意味で)耳に残るなあ。颯爽とした鮮やかな昂揚感をピアノに封じ込めた、愛らしい小品M20「picnic」。
似非日本の郷土風俗的音楽を大胆にフィーチャーした、安っぽいゲーム音楽魂と軽妙なサウンドクリエイトの成せる電子音楽群は、面白いっちゃおもしろいんだけど、別にサントラとして聴きたくはないんですよね。アニメを観てないんでなんともいえないんですけど、世界を音楽が上滑りしてるんじゃないかなという予感がします。ま、僕はサントラで気に入った曲だけ聴いていれば幸せになれる人間ですから、構わないんですが。
あ。ED曲のeufonius「きらきら」のCD聴いてないよ。なんてこった!

コードギアス 反逆のルルーシュ O.S.T.2

コードギアス 反逆のルルーシュ O.S.T.2

コードギアス 反逆のルルーシュ O.S.T.2

前回のサントラで、中川幸太郎サウンド全開を期待していて、多少裏切られて、適切な覚悟が出来ていたからか、今回のサントラはけっこう聴けますね。劇中の要所要所を堅実に彩ってきた、小粒で小粋な佳曲群と、華やかにキメていた美しい、イカすボーカル曲と。ジャンル的にも情感的にもバラエティに富んだ、聴き応えのあるサウンドトラックになりました。とはいえ、「これがコードギアスの音楽だっ!」と力いっぱい断定できるような曲はここでも見当たらない。それが、本編の怒涛の決然さと、他の追随を許さないオリジナリティに不釣合いで、宿命的に物足りなさを感じてしまう原因なのかもしれません。やはり中川幸太郎が音楽を担当するなら、OPもインストゥルメンタルとして作編曲して欲しかったと思うのは、贅沢なんでしょうかね。べ、別に「解読不能」がどうとか、言ってるんじゃないけれどもっ! (ああ、収録されている「COLORS -CODE GEASS OPENING MIX-」を聴いてしみじみと思う、なんて名曲だろうか、と)
しいて挙げるなら、この曲こそ「コードギアスのテーマ」なのではないかと思えてきます、予告で耳に馴染んでいたあの曲M1「Previous Notice」、これぞ怒涛の決然さ。あるいは「これがレヴュー!」と声を張り上げそうな、華麗とはこういうことをいうのよ的M3「School Festival!」。映画音楽で聴けそうなコミカルシーン御用達M4「I can't do it」。しっとりとしたギター、ゆるやかな弦楽、ほほえましい雰囲気に頬も緩むM6「With You」。情熱的なサンバのリズムに乗り、轟くように雄雄しい男性ボーカルが、ハイトーンに差し掛かると不意に高貴な色合いを帯びるあたり、作品のテーマに振れている気がするM11「Black Knights」。飄々としたトランペットが静寂のなか不穏な情景を匂い立てるM13「Pessimistic Time」。
短い、だがそれがいい、差し迫った緊迫感と、立ち向かっていく熱さを遺憾なく吐き出すブラスバンド・中川節に安直なメロディはいらない、M18「State of Emergency」。続くM19「Air Surfing」も熱い、ついにメロディが迸る、それは事態が拮抗している証拠。そしてついに黒幕の登場か、背後でひそかに刻まれるハープシコードサウンドは中庸だがかえって抑えがたい切迫が炙りだされるようM20「Avalon」。そしてタイトルを見よ! M21「Final Catastrophe」。M18-21はいっそ組曲にしたほうが良かったのではないでしょうか。
ボーカル曲もボリュームいっぱい。M2「Callin'」とM17「ピカレスク」は酒井ミキオ。クールでパッションな楽曲を粘っこいほどナイスガイのボーカルが歌う、なんていけすかない(褒め言葉です)。M7「Alone」とM22「Innocent Days」はhitomi。まるで女神のように透きとおったたおやかなボーカルが紡ぐ英詩は、まるでこの世のものとは思えない。にもほどがある「Innocent Days」。まるで天上界のまどろみをまかり間違って音楽に変換してしまったかのように、こんなところでこんな僕が聴いていいものなのだろうかと不安になってしまうくらい、極上のきわみ。癒されるというか、救われます。泣けるというか、鳥肌が立ちます。

まなびストレート! O.S.T アンサンブルI

高校生といえば、吹奏楽。その溌剌としていて若々しい、それでいて本格的なブラスサウンドが印象に残ってサントラを聴いてみようと思ったのでした。ただ、もうひとつ大きな動機だった校歌が収録されていなかったのは残念。しかもCD2枚組とかいって、サントラ分の1枚目は収録時間がたった40分ちょい。もう1枚はまるまるボーカルアルバムで、しかもヘンチキなアレンジが施されていてとても聴けたもんじゃない。そんな詐欺っぽいことするくらいなら、サントラを2枚組で発売して、ボーカルアルバムを2枚組で別々に売ればよかったじゃんか。んもう。
待ちに待ったワクワク感と、抑えきれない晴れやかさをすこやかに表現した吹奏楽曲M2「朝の風景(M03A)」。軽妙で生き生きとしたピアノとギターがむやみに楽しいM3「生徒会書記、稲森光香記す(M49A)」。無邪気な勇ましさとたくましい疾走感が、空気となって伝わってくるようなブラスと弦楽の瞬発的な競演M4「まなびストレート!(M29#2)」。勢いのある、つまり忙しない楽曲群にあって異質なほどにゆったりとした、和やかな大曲、M8「おだやかな日常(M02A)」と、慎ましいピアノ曲、M9「Ever Green(M27A)」。時計の針の刻みと自分の鼓動を一度元に戻してみよう。
バイオリン2台の清楚な競演、M10「精霊の踊り(M45)」。雨と名のつく曲に僕はめっぽう弱いのです、それがピアノ曲なら尚更……、したがってM11「Rainy Blue(M15)」はいい曲。ついでにM12「届かぬ願い(M42)」も、憂いを湛えた可憐なピアノの旋律が美しい。こんな名曲、本編で使用されていれば気づかないはずないんだがなあ……。お行儀の良い旋律が繰り返され、次々新たな音色が加わったり、代わったり出て行ったりするさまは、まんま生徒会室の光景のようでちょっと面白いM17「準備開始(M44A)」。仲間と何か大切なことを成し遂げようとする最中の、感懐というものは、言葉にできない、ふつふつと湧き上がる体温感なのかもしれません、そんな掴みがたいテンションをブラスと弦楽、ピアノで空気感まるごと表現したM21「まっすぐゴー!(M08#10)」。
やっぱり高校生といえば、吹奏楽。風を起こす彼女たちが、とてもじゃないけど高校生に見えないとしても、ね。

ときめきメモリアル O.S.T.2

これは正直、聞く必要なかったかなあと思っています。だって、溝口肇が担当されているから、見てもいないこのアニメのサントラに手を出したというのに(前回のサントラの話)、今回のは一緒に担当された延近輝之という方の曲がメインだったのですから。聴けば聴くほどに物足りない。溝口肇作のいくつかのテーマ曲アレンジバージョンでお茶を濁されるくらいなら、前回のサントラを聴き直したほうがなんぼかマシじゃあ……。

DEATH NOTE O.S.T.2

DEATH NOTE オリジナル・サウンドトラックII

DEATH NOTE オリジナル・サウンドトラックII

今回のサントラは、前半が平野義久のクラシカル編で、後半がタニウチヒデキのロック編。クラシカル編は、前回サントラの別アレンジバージョンをいくつかと、初出のナンバーで構成。M1「Kyrie II」は、宗教曲に馴染んでいた者としてはなかなか捨て置けない(昔の話ですけど)。こういう真剣な宗教曲を真剣に使用できるアニメ作品は、やっぱり嬉しいです。M2「Semblance of Dualism」はヒステリックなまでに緊迫感をぶん殴る、圧倒的で鳥肌級のナンバー。M7「Air」は穏やかな、のどかと言ってもいい無伴奏合唱曲ながら、和音進行にところどころ不穏を感じてしまうのは、考えすぎでしょうか。M8「Light Lights up Light for piano」は、今まで聴いたこともないような、慈愛に満ちた気品あるピアノソロ曲。ピアノ自体、この作品のサントラでは全く初めてではないでしょうか。大作曲家が晩年最愛の女性のために書き上げたような、ひたすら甘美で感傷的な小品。
そしてロック編。無駄な音と余計な旋律を極力省いた、繰り返される単純な音形と、リズムと、ロックの手触りにストイックなまでに集約された、無機質で結果論の音(楽)。情景音楽というより、そう、皮膚音楽。皮膚だから耳に優しいメロディは意味がなく、いっさい思想や解釈も受け付けやしない。だから、暫定的・便宜的で主観的(つまり『いい加減』)な僕の言葉なんて、入り込む隙間も表現する資格もありはしないのですよ。ただまあ、「ミサのテーマA・B」は和みましたけど。
フィーリングとは、思想や解釈を超越した、精神そのものですねえ……。音楽は楽しむためにあるのと同じように、感じるためにあるのだということ。どうりで、野菜に音楽を聞かせたりすることに意味を見出せるわけだ。感じたことを、言葉にするのは、結局のところ、言葉にするように、感じているよう錯覚させようとしている、後付けの解釈定義の類に過ぎなくて。あまり意味がないというよりも、感じることに枠をはめて後の自由を効かなくするだけのような気がしてきました。感じるようにしか感じられないのではなく、感じるように感じるべきだということであって、そこに言葉による解釈や定義は、いっさい必要がない。
まあ、楽しむことに関しては、言葉によるそれがまだ必要で有効な領域であることを、確信しているわけだけれど。そうじゃなきゃねえ、音楽の感想なんて書きゃしないよって。僕はこんなところでいったい何を書いているんだろう……。