コイン洗車場に敗れ去る

 ウチの車の水垢が気になると母親が言うので、ガソリンスタンドに行って店員に相談したところ、この水垢は安い機械洗車コースでは取れないという。それならどうしたらいいかと尋ねたら、水垢取り専用のコースというものがあるけれども、それは4000円もするというんですよ。
 洗車で4000円なんて考えられないので、その場は機械洗車だけしてもらって、水垢は自分で取ろうと思ったんです。カー用品店に行けばそういう洗剤みたいなのがあるだろうと踏んでね。
 そうしたら、予想通り水垢取り専用の洗剤が幾種類も売っていたので、その中でも安めの600円くらいのやつを購入し、いざ洗車!
 …しようと思ったんだけど、洗車する場所がなかったYO!
 僕は人生ここにいたって初めて、「コイン洗車」という業態の存在を意識しました。
 ネットで調べたら近所にコイン洗車の全国チェーン店があるらしいので、さっそく行ってみたわけなんですが。
 ノーブラシ洗車場のJAVA
 あまりにもよくわからないので、何もしないで帰ってきちゃいました…。
 僕の中のコイン洗車場というのはですね、まず放水バーみたいなのがあって、10分間300円くらい払って水使い放題。それで、自分の用意した洗剤なりワックスを使って車をきれいにするというようなシチュエーションをイメージしていたんです。
 なのにその洗車場ときたら、いきなり機械洗車の門みたいなのが3つ4つ並んでて、まずそこからして違う。中をよく見てみると、門の先のほうに僕がイメージしていたような区切られたスペースを見つけたので、「ここが本丸かっ」、門をよけてそこに車を寄せて降たんです。すると掃除機のホースみたいなのが付いている機械がぽつんと脇に立ってて、「強い圧力で即乾燥」みたいなことが書いてある。
 ちょ、乾燥って言われてもまだ洗ってもいないんですけど(感想)。
 妙なところに来ちゃったなあと困りながら隣のスペースを見ると、カーペット洗浄のために設置されている蛇口のところにバケツを5つくらい置いて、ひたすら車にバケツの水をぶっかけているお兄ちゃんが。そのバケツは持ち込みなのか、この蛇口の水は有料なのかなどと疑問はますます募るばかり。でもなんだか近寄りがたい雰囲気なので聞くに聞けないし、無人なのか、店員がどこにいるのかすらもわからずで…。
 ――母さん。
 なんだかコイン洗車場というところには、一見さんには理解できない洗車システムと、素人には触れることすらできない掟が存在するみたいですよ。もしかして事前予約制とか、提携ガソリンスタンドからの紹介制だったりするのかなあ。
 だから僕は、申し訳ないんですけどコイン洗車場というものについてもっとよく勉強してから出直そうかと思うんです。だから、車に付いた水垢はもう少し我慢してください(敗北の弁)。
 確かに僕は車のことに関しては全然無知ですよ。興味もありません。たまにガソリンスタンドの待合室で待っているとき、「○○(メーカー名)の○○○のお客さまー」と店員に呼ばれたのに、僕のことだとは気づかず、その店員が僕の顔をしげしげ見ながら「○○(メーカー名)の○○○のお客さま?」と尋ねてきてようやく、「あ、はい?」みたいな(「そういやウチの車はそんな名前だったっけ」と思い出す)。
 でも、でもね。水洗い洗車の目安が週2〜3回というのはいくらなんでも多すぎだと思うんですよ?